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(**)スポーツカーとSUVを一体にした
コンセプトを描く学生
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企業スポンサーの授業
案内される前に広報部のティーディーさんから一通り説明を受けた。「当校では企業によりスポンサーされているクラスが各学部にあります。企業側の狙いは新鮮なアイデアやデザインを外部から求め、自社デザインのインスピレーションにされたりリクルート等をすることです。授業で必要な材料や用具はスポンサーに出して頂いていますが、完成作品に対する権利はその作品を作った学生に依存します。車関係では今学期 Acura がスポンサーしている授業がありますのでここに見学しに行きましょう。」
韓国生まれのリン先生が笑顔で迎えてくれ、この授業はデザインの基本を身につけて学んだ技術やテクニックを利用する上級生向けであると説明してくれた。「ここでは、スポンサーのテーマにそって学生がプロジェクトを手掛けます。 3 回ぐらいは Acura の社員が訪れコメントやフィードバックを提供し、学期末には学生がプロジェクトのプレゼンテーションを行うのです。従って学生にとってスポンサーがクライアントの存在になっていますね。まだ学期が始まってから 3 週間目なので方向性を模索している最中・・・」、とは言うものの既に具体的なデザインを描いている学生が多い。
スポーツカーと SUV のデザインを取り入れたコンセプトカーを描いている学生もいれば、 Acura ラインアップに欠けているクルマをデザインしている学生もいる。「NSX が最高級車だけど、そのワンランク下の車まで価格が空きすぎている。そのギャップを狙った車を僕は提案する」、と説明してくれたのは来年卒業するダフさん。各学生の前には生産しても売れそうなカー・デザインで散らばっているが、まだアイデアを模索しているらしく次のようなコメントが多かった「プロジェクトのコンセプトと方向性が決まったから具体的なデザイン作業に入ります」どの学生も Acura と HONDA を相当調査し、自動車市場も理解して 5 年以内に現実的に売れそうなデザインを考えている。既存の技術、或いは近年開発され得る技術を考慮して現実性のある車をデザインするのがこの授業の基本。従って小学生時代に描いていた空を飛び、海に潜る自動車はだめである。
面白い事にこの授業は、トランズポテーション・デザイン学部とエンバイアルメンタル・デザイン学部の共同授業である。「エンバイアルメンタル・デザイン」とは直訳すると「環境デザイン」になるが、ようするに人と接するもの(家具、オフィスの空間、ビル等)をデザインしている学部だ。この授業では、トランズポテーションの学生が車をデザインし、エンバイアルメンタルの学生がその車を展示する空間をデザインする。学期末に Acura に対してにプレゼンテーションするときは両学部からのプロジェクトが一体となった作品をチームとして提供するらしい。そのタイミングに予定があえば引き続き取材をしたいと思う。
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(**)車をデザインする授業光景
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(*)クレイ・モデルを作ることもあるが、最近では
コンピューター技術を利用する学生が多いそうだ
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多岐に渡る教育内容
僕がイメージしていたのは、生徒は絵だけを描きそのテクニックの改善に全力を尽くすのに毎日励んでいるのがデザイン学校であった。意外なのはアート技術やデザインの知識に集中する一方、職に就いた時に困らない程度に学生は他分野の教育も受けている。義務付けられている授業には、自動車空気力学、自動車デザインの歴史、定量分析、 CAD 授業等があり、また商品デザイン等の授業ではマーケティングの基本等が教え込まれる。
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(**)モーターバイクもデザインされる。
これは日本人学生の長尾さんの作品で
大学の受付けに展示されている
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学生生活
授業がハードで勉強が大学院なみと理解したが、一番楽しいはずの学生生活はどのように過ごしているのであろうか。「なにして遊んでいる?」と聞くたびに学生の顔がハテナマークだらけになる。まったく同じように回答する学生が多いい「んー・・そうだな・・何してんだろう」キングさんの一言が印象的であった。「この授業が遊びなんだ。デザインしているのが楽しいんですよ」なるほど、趣味を仕事にしているのか。 Art Center の学生はアートを学ぶだけで無く、アーティストのライフスタイルにどっぷり入り込み学生生活を過ごしているらしい。帰宅してもアパートには作業中のキャンバスやアートで散らばっていて、友達との会話もアートが中心になるわけだ。
試しにどんな車が好きなのか、と尋ねてみた。フェラーリーやブガティー等のエキゾティック・カーの連発になるだろうと思っていたら意外なことに大衆車が多かった。「フォード・フォーカスいいよねー、 PT Cruiser ・・・やっぱりクライスラーがベストかな。」とすると「そうそう、コンセプトカーやデザイン・フィロソフィーを生産車に反映させている・・・」のように会話が自然とデザインの話に流れていった。
ちょっと聞きにくかったが高額な学費をどうしているのかとキングさんに尋ねたら率直に答えてくれた。「膨大な借金をしているよ。なんだかんだ言ってプロジェクトに必要な材料や生活費で年間 6 万ドルぐらいはかかるからね」それなりの見返りが期待できるのであろう、と僕は思った。彼の話によると初任給に約 5 万ドルは期待できるとか。人気が無い会社が一番給料が良く、人気がある会社が一番低いそうだ。キングさんいわく不人気順の就職先はアメリカ、日本、ヨーロッパ、そしてイタリアの自動車メーカーである。高給取りや有名デザイナーになる道は、まずアメリカの会社でデザインし、給料が安くなるがピニンファリーナ等に転職して自分のキャリアとポートフォリオを磨くことである。その後、独立したデザイン・スタジオを開いたり企業のトップデザイナーとかになれるそうだ。
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(*)長尾さんのプロジェクト
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がんばれ日本人!
アメリカの著名な大学だと必ずと言って良いほど日本語が聞こえてくるが、まだ一言も聞いていない。それもそうだ、日本人学生はほんの約 2 % 程度で 30 人にも及ばない。その一人、長尾大介さんに話を伺った。と言っても彼は先学期卒業したばっかりで現在就職活動中。彼の道のりは長く、高校時代に Art Center の存在を知り、卒業後 5 年間アイオワ州の大学に通い英語を身につけると同時にアートを勉強していたそうだ。「なぜアイオワ州?」、と聞くと「日本人が少なく英語が身につくと思ったから」、と彼の熱心さが伺える回答である。
これからがんばろうとする皆さんにメッセージをお願いした。「もっとオープンな思考になるように色々な経験をするべきです。日本、アジアだけでなく米国等の外国を知ったらデザインへの考えかたのみならず、人生への考えかたがもっとオープンになると思います。」彼のスポンサーの長尾パパ・ママ、僕が言っては何ですが、お子さんは立派な大人に育ちましたよ。これからの活躍を楽しみにして、引き続き彼のキャリアを取材したいと思う。
有名デザイナーになる夢を追求している皆さん、貴重な時間を有り難う ! 数年後には、貴方がデザインした車に乗れることを期待しているのでがんばって下さい。Good Luck !
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