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8時限目 今のレガシィの衝突安全性はほぼ究極!?

これからのスバルはセイフティ! をテーマに徹底したカリキュラムで授業を行うvividcar『スバル安全大学』。8時限目は、4時限目の続き、安全の根幹とも言える『パッシブセイフティ(受動的安全)』のお話。今回は一見ジミだが深くて、開発に根気を要する安全ボディの作り方を…

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奥野先生による『パッシブセイフティ』の授業その2

_MG_4670small.jpg「スバル技術本部」の奥野竜也先生。現在45才で、87年に入社して以来、出向していた数年間を除き、一貫して衝突安全の部署を歩んでこられた“衝突の鬼”だ。出向期間も衝突安全とは無関係でなかったといい、もしやこの方がいなかったら、スバルはJNCAPでグランプリを獲得できていなかったかもしれない…

 

_MG_4592smallsmall.jpg衝突はまずスペースとの戦いである…

オフセットクラッシュの導入で足首まで俎上に…

 今ではすっかり当たり前になりつつある自動車の衝突安全性能。そしてスバル・レガシィは'09/10年、JNCAP(Japan New Car Assessment Program=公的機関における車両安全評価)でグランプリを獲得。今回はそれを導いた奥野先生の2回目の授業である。

小沢 ところでオフセット衝突って日本ではいつ頃始まったんですか?
奥野 95年ぐらいだったと思います。オフセットの何が大変って、前回語ったフレームの話もそうですけど、測定する障害値(身体に対する影響度合い)の項目が増えたことです。今までは頭と胸と足だけだったんですが、足首も評価対象になった。
小沢 なぜですか?
奥野 オフセットクラッシュするじゃないですか。結果、どうしても余計に入力が入って来て、ペダル回りのトーボードまでグワーっと変形するようになった。よって足首も守らねば、となったんです。
小沢 クチで言うのは簡単ですけど、大変ですよねそれ。要は頭や手よりもヘタすると前の部分になるから…
奥野 結局、足元まで変形させられないってことになると、余計エネルギーを吸収する部分が少なくなる。で、当然クルマはツブすストロークがあった方が安全ですから…
小沢 そりゃそうだ。同じ衝撃を1mのスポンジと10cmのスポンジのどっちで受け止めるとラクかって、前者に決まってる。
奥野 つまり限られた空間の中で衝撃を吸収しつつ、必要とする部分を守らねばいけないわけですから、単純に硬ければいい、柔らかければいいってことではなくなってくる。
小沢 どうすればいいんですか?
奥野 いわゆるg(加速度)変化で見ると、最初にガツンと減らして、後でグズグズ…というのがいい。最初硬くて、中パッパ。あとはスーッと。
小沢 なんか上手なご飯の炊き方みたいですけど(笑)。なるほど、最初は硬くて、徐々に柔らかくなるのがいいんだ…でもそんな都合のいい構造、ありうるんですか。
奥野 だから大変なんです。でもそこが我々の腕の見せ所で例えばフレーム構造1つとっても、例えば断面に「ビード」って言われる切れ目を入れることで、徐々に潰れる構造にできたりする。
小沢 なるほど。肉に切れ目を入れて焼き易くするようにコントロールすると。短距離に一杯切れ目を入れれば潰れやすくなるし、逆に入れないと潰れにくくなる。ある種の衝突性能の時間コントロールですね。
奥野 そうです。さらにその次の段階があって、最初はいかに少ないストロークで、いかに効果的に吸収するかですが、今度はそのストロークに限界が出てきて、エンジンを下に落とすとか、エネルギーを枝分かれして逃がすようなことを考えるようになる。
小沢 いわゆる“疑似ストローク”の創造ですね。
奥野 そう、言えなくもないかもしれません。

 

_MG_4640small.jpg今はオフセット衝突、軽量化はもちろん、歩行者保護などあらゆる安全性に力を入れている。ここではボンネットの付け根の安全構造を解説!

 

ワイパーの形状まで安全を考える

小沢 ところで新車って出てくる度に、ねじり剛性何%とか曲げ剛性何%って剛性が上がってハンドリングが良くなるじゃないですか。衝突安全向上のためのボディ強化が、結果として走りの質感向上に結びつくことってあるんですか?
奥野 たまたま…はありますよ(笑)。でも逆に不利になることのが多いです。
小沢 なぜ?
奥野 重さです。例えば私が戻った95年頃に開発されていた3代目レガシィの時代は、オフセット衝突が始まってますから、よりキャビンをちゃんと守らねばという思想が入ってきて重くなってます。
小沢 どれくらい?
奥野 言えないくらい(笑)。当時はもう、お叱りを沢山受けました。で、その次はボディ硬くさせつつ軽くさせなければいけないとバンバン、軽量高剛性のハイテン鋼が入って…
小沢 それでここ数年の新車はなにかと「ハイテン鋼何%」ってうたってるんですね。国産車も輸入車も。
奥野 それは大きいと思います。その次の4代目レガシィでは100kg軽くなってますし、安全、燃費、ハンドリング、すべてを両立させようとなると、硬くて強い鉄板がどうしても沢山必要になる。
小沢 なるほど。よく分かりました。軽さは、安全はもちろんすべてに効くから今の一番の課題なんでしょうね。実際、ハイテンだけでなくアルミとか樹脂パーツもどんどん増えてるし…
奥野 というか永遠のテーマですよ、軽量化は。それどころか今は歩行者安全、つまりクルマ対クルマだけでなく、クルマ対人間の衝突安全の研究も続けてます。今のレガシィのボンネットの高さや丸さは人をいかに傷付けないかに考慮してあるし、ボンネットの付け根やワイパーとの形状まで考えてますよ。ちょうど頭がぶつかりやすいところなんで。
小沢 ところで今も基本となるボディの潰れ方は進化してってるんですか?
奥野 細かいところでしてます。スペースの無駄はさせられないんで、微妙に潰れ方が上手になってます。とはいえ今はある程度、行き着くところまで行っちゃってますから、今のレガシィでだいたいゴールというイメージだと思います。そしてその結果、そもそも事故を起こさない、ぶつからない方向に行ってるのもありますし。
小沢 それで“EYESIGHT”だと。しかし、かなり嬉しい話ですね。今のレガシィの衝突安全は行き着くところまで行っちゃってるなんて…
奥野 いや、でもまだまだ突き詰めますから(笑)

 

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