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tab_star2005/01/14tab_end風を切って進むぞオープンカー
幻のロードスター、BMW 507
2004 年 11 月 12 日、大雨の明けた静岡県浜松市に私はいた。大きなシャッターを前に、少しだけ心が弾んでいる。この扉の向こうには、白い宝石が納めてあるからだ。
文と写真=きもだこよし


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きもだ こよし_プロフィール_写真Sicon_homeきもだこよし
[クルマの似顔絵描き]
3 月からルノー府中にて、メガーヌやルーテシアなどルノー車の、イメージイラストの常備展示ならびに複製画の販売をさせていただける事になりました。興味のある方は、是非ともいらしてください!
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助手席にモノが置いてあるのはイベントの際に裂けてしまった部分を隠すためだとか。ただ大切にするだけでなく、実際にガンガン使っている証拠である。

太平洋横断

静岡県浜松市に住む大津氏のガレージは、最近増改築を行いすべてがあたらしくなった。そして扉の向こうには、多くの収蔵車両とともに、今回の旅の目的である BMW 507 が鎮座していた。氏のもとに来てからかれこれ 4 年以上経つ 507 だが、その姿はまるで新車のようにキレイだ。

熱心なドイツ車信望者である大津氏は、メルセデスと BMW のコレクターで、とりわけ BMW には非常に強い思い入れがある。氏が 507 と出会ったのは 5 年以上前だったというが、その当時、503 や 507 といったモデルを探していたときに、知り合いの工場から 507 を見つけたとの朗報がもたらされた。

当然すぐに駆けつけようとしたのだが、場所を聞いて唖然、なんと海の向こうのカリフォルニアにあるというではないか。とてもではないがそんなところまで見には行けないし、自分では良し悪しの判断もしようがない。しかし、どうしても手に入れたかった大津氏は、何人ものひとづてを頼って向こうから情報をもらい、最後の最後に、その知り合いの工場のひとに確認してもらって、ようやく手に入れたのだという。

突如もたらされた朗報から納車までに要した時間は、じつに 9 か月以上。さまざまな紆余曲折があったこともあり、それだけにやっと届いた 507 への思い入れは大きい。余談だが、同じ時期にあのエルビス・プレスリーが所有していた 507 の話もあったとか。部品はすべて揃っていたがバラバラの状態で保管されていたため、きちんと組み上がるかの確証がなく断念したという。なんでもプレスリーの 507 は、スイッチ等がすべて象牙でできた一品だったそうだ(さすが世界のビッグスター!)。

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【左】エンジンルームにあるシルバーの箱(写真手前)は備えつけの工具箱。BMW の伝統ここにあり。排気量はクーペの 503 と同じながらゼニス製のキャブレターを 2 基にしたり圧縮比を上げるなどして 150hp を発生する。
【右】エンケイ製のワンオフホイールは 90kg のアルミを削り出して制作。重量は 6kg と軽量。ちなみにオリジナルのホイールはセンターロック式である。
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ガレージには歴代の名車がズラリ。目がくらむ光景だ。

252台

507 のデビューは 1956 年。まだドイツが敗戦のダメージから脱したとは決していえない時代に生まれたのだが、多くの国民が買えてもせいぜい大衆車どまりだった混乱の時代に、BMW は小型車ではなく、戦前のような高級車路線へと舵を切った。

どのベクトルに向かって自分たちのクルマを作っていいかを決めかねている状態のなか、時代に逆行し、大型モデルの 501 と 502 を急ピッチで開発。その結果は推して知るべし。販売成績はまったくパッとせず、BMW は財政難に陥ってしまったのだった。

そんな危機的状況にもかかわらず、贅沢なロードスターたる 507 をデビューさせた裏には、メルセデス・ベンツの存在があった。とりわけ 300SL のセンセーショナルなデビューは BMW を大いに焦らせ、大型クーペやロードスターの開発に踏み切らせるきっかけともなった。しかし、501/502 をベースに作られた 507(クーペは 503 )は、300SL を意識し過ぎたあまり準備不足と生産の遅れが響き、価格は当初の倍にもなってしまった。世界中で素晴らしい評価を得たにもかかわらず、507 の販売台数は伸び悩み、BMW はまたしても深刻な経営不振を招いてしまう。そのために、優雅で美しい姿とは裏腹にわずか 252 台で生産は打ち切られてしまったのである。

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BMW 507 ● SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高 4380×1650×1300mm
ホイールベース  2480mm
車両重量     1330mm
エンジン     V 型 8 気筒 OHV 3168cc
最高出力     150hp/5000rpm
最大トルク    24.0kg/4000rpm
サスペンション  前:ダブルウィッシュボーン+トーションバー 後:リジッド+トーションバー
ブレーキ     前後ディスク

路上の1台

大津氏の 507 をよく見ると、一箇所だけオリジナルと違うところがある。それはホイールだ。なんでも、少しばかり前にオリジナルホイールにクラックが入ってしまい、ただ普通に走るだけなら溶接修理でも不都合はないが、遠乗りやラリーのような激しい走行はムリということで、個人では初めてホイールメーカーのエンケイにワンオフで作ってもらったものなのである。値段はヘタなクルマ 1 台分と聞いて筆者は気が遠くなったが、そういえばエンケイは、ここ浜松に本社がある世界有数のホイールメーカーなのであった。

クルマとのマッチングもよく、走りっぷりは非常に満足のいくものになったそうだ。ここまでしてこだわる理由は、以前は小さなギャラリーを開いて絵画や美術品とともに展示していたのだが、氏には「クルマは走らせてこそのもの」という考えがあるためだ。そんなわけで大津氏は、カーイベントで惜しげもなく 507 を走らせ、沿道のギャラリーの目を楽しませている。

いま確認されている限りでは、507 は日本に 2 台ある。内 1 台は大阪の方にあって博物館に収蔵される予定だそうなのだが、諸事情から未だ倉庫で眠っているそうだ。つまりこの 507 は、日本の路上を実際に走っているただ 1 台のクルマなのだ。日本で唯一実動している 507 でいちばん気に入っている点を訊いてみると、「所有する 300SL の男性的で骨太なラインに対して、非常に女性的なラインの美しさを感じるところ」という答えが返ってきた。さらに、「手に入れられるならば、BMW 戦前の名車 328 をコレクションに加えたい」とも。

クルマ好きの宝箱ともいえるガレージから走り出す 507。その華麗な姿は、あなたの近くのカーイベントでも見ることができるかもしれない。




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http://www.bmw.co.jp/
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エンケイ オフィシャルサイト
http://www.enkei.co.jp
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