file1173
vivid_mark_s
地球の走り方_バナーL地球の走り方_ヘッダグラフィック
bu_homebu_weeklybu_indexbu_back
Page 1/1 |
vividsearch2
search_car2
search_article2
tab_star2005/08/29tab_end日本の走り方
黒い鹿児島
情熱の込められた産物たち
車での旅は道のりに自由を与えてくれる。出張の合間の旅もあれば、家族での旅もあるだろう。同じ場所をリピートするなら、何かいつもと違ったテーマを持って目的地を決めてみたらどうだろう。

地球の走り方鹿児島編のテーマは「黒い鹿児島」
黒という色は、日本人にとって一般的には決して縁起の良い色とは言えない。ところが、黒という色にとても縁の深い、むしろ生活に密着している町がある。それが鹿児島なのだ。

文と写真=津島健太(Vividcar.com編集長)
tab_face
tsushima-SS.jpgicon_home津島健太
[VividCar 元編集長・フリーライター]
現在は「港未来シンジケート」代表としてのインディーズレーベルやイベントプロデュース業と平行して、JMS日本モータースポーツ記者会、ナンバー付きVITZレース1000c.c.CUP 代表、vivid car .com 編集長、作詞家、旅のライター等々イカゲソ並みの数の鞋をはいている。
純血を守りとおす鹿児島黒豚

鹿児島の黒豚は全国でも高級ブランド豚肉として有名だ。それでは鹿児島黒豚と鹿児島県産黒豚の違いは?と聞かれて答えられるだろうか。

鹿児島に初めて来た人にとってまず目を見張るのが、目の前にそびえる桜島が、TVなどでイメージしているよりもずっと町に近く、圧倒的な迫力で黒くそびえたっていることだろう。町の面前に火山があることが日常であることにただただ驚きを感じ、ニュースで見たことのある噴火情報のイメージと照らし合わせてしまう。

鹿児島市内から垂水フェリーに乗り、その桜島の南岸をかすめ大隅半島へ。国道220号線を南下。海沿いの道から道なりに内陸に走っていくと、鹿屋市に入る。まず目につくのは何もないなだらかな坂の途中、右手の丘に突然あらわれる近代的な建物が鹿屋体育大学だ。ここに通うアテネオリンピック水泳女子800m自由形ゴールドメダリスト柴田亜衣が「金メダルをとっても普通の生活をしたい」とインタビューに答えていたことを思い出す。「大丈夫、ここにいれば誰も気づかれずに生活はできるよ」と余計な安心をして通り過ぎる。

kurobuta-tsushima.jpg
鹿児島産黒豚は厳しい基準で純血を守られている

鹿屋市で鹿児島黒豚農場を経営している有島農場の有島一行氏を訪ねる。皆さんは鹿児島黒豚と鹿児島県産黒豚の違いをご存知だろうか。
「まず、鹿児島生まれ鹿児島育ちの純粋なバークシャー豚であること。他県で生まれた豚の血が少しでも入っている豚は鹿児島県産豚と呼ばれ、鹿児島黒豚とはまったく違うものとされます。さらに、数多くの細かい規定があり、それをクリアして育てられた豚だけが、鹿児島黒豚を名のれるのです。」

古来鹿児島には黒豚しかいなかったそうだ。その鹿児島で生まれた純血の黒豚同士の交配。鹿児島の全植物性の餌、そのうち10%以上を鹿児島産のさつま芋で育てられたバークシャー豚のみが鹿児島黒豚。少しでも他県の豚の血が入っていたり、鹿児島以外で育った豚は鹿児島県産としか名乗ることができないのだ。

鹿児島黒豚は神経質で清潔好き。毎日優しく声をかけながら、豚舎は常に清潔にして22℃の温度管理も徹底して行われる。子豚は15℃程度を切るだけで凍死してしまう。普通の白豚が1回の出産で11,2頭産むのに対し鹿児島黒豚は7,8頭。頭数も少なく、手間もはるかにかかる鹿児島黒豚だが、そこまでして守り抜くブランド豚というのは一体どういうものなのだろうか。


tonkau-tsushima.jpg
<定食>黒福多の「黒豚ヒレかつ膳と黒豚づくし」(¥3675)。ヒレかつと黒豚料理6品というボリュームでも不思議と胃に優しい。


トンカツショック

黒豚料理の店は鹿児島市内に数多くあるが、有数の銘店「黒福多(くろぶた)」(*2)を訪ねた。70人も行列を作ったことがあるというぐらい地元では有名店。玄関に鎮座する招き豚が、まず目を引く。

この店のこだわりの尋常ではない。抜き打ちで肉のDNA鑑定を独自に行うほど、400年にわたって純血を守られてきた鹿児島黒豚にこだわっている。
「鹿児島黒豚は筋せんいが細かく脂身が溶け出す温度が高いので、しゃぶしゃぶにすると身がさっと縮み、トンカツにすると脂身がジューシーに保たれます。ですから、決して胃にもたれず、一見多すぎると思われるボリュームですが、女性の方でも残さず食べていかれます」という通り、肉の細かい繊維が口の中で溶け、肉料理独特の油臭さが口に残らない不思議な感触が広がる。2人前かと思うぐらいの量が出てくるのだが、油が口の中でいやな感じでひろがらずに、さらさらとしている。さらに筋独特の繊維質がさくさくと切れ、かなりの量を食べたというのに胃のもたれを感じないのだ。

これはあきらかに他の豚とは違う。ただおいしいだけのものとは思えない、もはやカルチャーショックだ。鹿児島で黒豚料理店は何件か行ったが、まだこの黒福多ほどの感動は味わっていない。東京・赤坂にも支店があるので、そちらに行ってみても良いだろう。

sandart-tsushima.jpg
<サンドアート>サンドボックス製「Sand Art〜禅(ZEN)」(¥6825)。音もなく落ちる白砂と黒砂の織り成す紋様は、眺めているだけで癒される。通販あり
癒しの黒、サンドアート

今度は鹿児島市内から海沿いに薩摩半島を南下。砂蒸し風呂で有名な指宿市。「サンドアート〜ZEN(禅)」を製作しているのは株式会社サンドボックス(*3)植山善生氏。桜島の黒い蹉跌を何日もかけ手作業で細かく砕いた黒砂と、県内の離島の白砂を特殊な液体に浮かべ、中間の気泡の隙間をくぐって液体の中に音もなく舞い落ちると、同じものは2度と出来ない美しい黒と白の模様を積みあげていく。20年もの試行錯誤の末、黒砂と白砂の比重の違いを利用したサンドアートを思い付き、いろいろな砂を試した上、蹉跌の粒子をどのぐらいに細かくすれば白砂との比重差とのバランスで美しい模様が作れるか、中の液体を何を使えば良いか(ちなみに使われている液体は油質ではない)、20年もの試行錯誤の上たどりついたのがこの「サンドアート〜ZEN(禅)」。当初は15センチ程度の小さいフレームサイズで指宿の温泉などで販売するお土産品としてなんとか販売に結び付けようと試みたが、ひとつひとつが手作りでとても手のかかる作品。しかし癒しの効果が抜群で、たまたま知った福岡の病院などから「ロビーや病室に飾りたい」「もっと大きなものが欲しい」というオーダーがくるようになり、今ではようやくアートとして認知されるようになった。桜島の溶岩を台座に利用した高さ20cm、幅38cmのステンレスのフレーム、重さ2kgの卓上用に作られたのが「サンドアート〜ZEN(禅)」。

付属の「メンテナンス用気泡調整キット」を使って気泡の大きさを調整でき、全部の砂が落ちるのに数時間から数日かかることもある。突然ピタっと砂の動きが止まったと思ったら翌日になってまた動き出すことも。時には数分で一気に落ちることもあり、仕事場のデスクに置いておくとついつい引き込まれてしまう。白と黒という模様と少し青みがかった液体、ステンレスのフレームがなんともいえない涼やかな癒しの空間を演出してくれて、これはハマった。

半年以上前から僕の仕事場のデスクにはこの作品があったのだか、飽きやすい僕が一向に飽きない。vivid carの編集長となった直後、鹿児島に再び行く機会があり、植山さんを訪ねた。そして、vivid carの読者のために、vivid styleへの出品をお願いし、快諾をいただいた。手作りの作品のため、注文から発送まで2〜3週間かかるそうなので、その点はご了承ください。


 
imo-tsushima.jpg
<芋>芋焼酎の原料「黄金千貫(こがねせんがん)」。表面が白いのが特徴。焼酎ブームによる大量生産の影響で、この芋不足が深刻だという。



幻になりたくなかった幻の焼酎

今や空前の焼酎ブーム。ネットオークションで「森伊蔵」を中心に入手困難な焼酎が法外なプレミア価格で販売されるなど、異常な現象が続いている。芋焼酎で名高い鹿児島の醸造元では、さぞかし好景気に沸いているかと思いきや、そうではないようだ。
焼酎ブームのきっかけとなったのは、飲み口が柔らかく、若者にも支持を集めた芋焼酎の黒麹仕込み。揖宿郡山川町で「薩摩の薫純黒」を醸す田村合名社(*4)は創業明治30年という老舗で、ここの焼酎は純かめ壷仕込みだ。
「近年かめ壷仕込みという言葉を耳にすると思いますが、かめ自体が今は日本では手に入りませんし、お漬け物同様、長年に渡ってその場所の菌がかめには育っていますので、大量生産は不可能。無理にすると味が変わってしまいます。」というのは社長の桑鶴ミヨ子氏。

焼酎は米と麹菌でモロミを作る1次仕込みと、鹿児島特産の「黄金千貫」というさつま芋を仕込んだ2次仕込みの後、蒸留されて芋焼酎ができあがる。1次仕込みだけをかめ壷で仕込んでも「かめ壷仕込み」という表示が許されるため、多くは手間のかからないその方法で作られているが、田村合名社はあくまでも明治以来の1次2次ともにかめ壷仕込みにこだわっている。

田村合名社のある山川町は、カツオ漁で知られる漁師町。漁から帰った地元の人たちが、丘にあがってまず1杯、と愛されてきたのが田村合名社の「薩摩の薫」なのだ。何世代も受け継がれた地元の人の舌を裏切らないため、大量生産に背を向け、常に手作りで108年もの間守りつづけられてきた。

ところが、空前の焼酎ブームは銘酒であればあるほどその運命を翻弄してしまう。勝手にプレミア価格をつけるネット販売業者。焼酎は儲かると押し寄せ、端から買い付けようとする業者。工場を拡大し大量生産に走る蔵元。その結果、品質を落としてでも冷凍芋で1年中生産するあまり、価格を高騰させ、深刻な芋不足を招いた。どんなにブームが来ても芋の生産量が何倍も増えるわけもない。

それ以前、焼酎というと庶民のお酒、1年中市場に安価で出回るものというイメージがあったが、それは違う。生芋を使う限り当然収穫時期は決まり、8月に仕込み12月に醸し上がると、それで1年分の生産は終了するのだ。日本酒以上に常温で品質が保てる焼酎だからこそ1年中販売できるとはいえ、ブームの最中、「薩摩の薫」は3月までにはすべて完売してしまうという。それでも地元の山川町の人たちに飲んで欲しいと、田村合名社では今や鹿児島市内でも1軒しか卸していないそうだ。

今回僕がこの蔵元を訪ねるのは2度目。もともと見学者を受け入れていない蔵元だが、最初は雑誌の取材という恩恵でお話をうかがった。そしてそのとき1本だけゆずっていただいた「薩摩の薫」に完全に魅せられてしまった。「森伊蔵」も「魔王」も確かに銘酒かもしれないが、東京の気取った居酒屋でプレミア価格を払うほどではないと思っている僕が、これが飲めるなら鹿児島までの交通費使っても良し、と思えた。潮の香りがする山川町の駅前食堂で、漁港からあがったばかりのカツオの叩きをつまみに飲んだら、どれほどうまいだろう、と想像するだけでワクワクする庶民の焼酎だ。

shouchuu-tsushima.jpg
<焼酎>田村合名社の黒麹芋焼酎「薩摩の薫純黒」。大量生産できないかめ壷仕込みため、地元の人でも手に入りにくくなったという。


今回訪ねた折り、無理を承知で限定でも構わないので来年の新焼酎をvivid styleで販売できないか(当然定価で)、おそるおそる聞いてみた。すると、「地元の人に販売する予約分でほとんどなくなってしまう、ということと、もしネットで1か所でも販売すると、すごい勢いで他のサイトや業者が押し寄せて収拾がつかなくなる」という理由でやんわり断られた。それもそうかもしれない。自分の浅薄さを恥じていると「でも、ちょっと待って」と総務課長の北川康好氏が蔵に向い、「今年の販売は終了しましたけれど、蔵の中に少しなら残ってます。どうでしょう、販売じゃなくて読者プレゼントならば1升瓶6本だけお分けしましょうか。ただし、絶対にプレミア価格で転売しない、という約束をしていただける方限定にしていただきたいのですが」
と、驚きの申し出をしていただいた。

touki-tsushima.jpg
<黒千代香とソラキュウ>黒薩摩の代表、焼酎を暖めるための酒器「黒千代香(くろぢょか)」と先がとがっているため注がれたら飲み干さなければならない独特の盃「ソラキュウ」


黒薩摩、白薩摩

焼酎を暖める鹿児島独特の酒器、黒千代香(くろぢょか)は黒薩摩と呼ばれる庶民の器だ。原酒を割水で割って1日寝かし、黒千代香で人肌に暖めて飲むのが焼酎の本来の飲み方。黒千代香で暖められた焼酎は、ソラキュウという先のとがった黒薩摩の猪口で飲むのが薩摩流。置くことができないので、一度注がれた焼酎は一気に飲み干さなければならない。
薩摩焼きは薩摩藩主島津義弘公の朝鮮出兵の際の連れて来られた陶工によって、白い陶土に鮮やかで繊細な絵付けを施した藩御用達の白薩摩と、前述の庶民の器、黒薩摩を独自の手法で作り出された。鹿児島市内から南九州自動車道を利用、東市来町美山には多数の窯元が存在していて歩きやすい。その中でも当時から400年余りに渡って続く沈壽官陶苑(*5)では、絵付けや窯、歴史的な作品を見学できる他、数10万円もする15代目沈壽官の白薩摩の名品から、黒千代香までさまざまな薩摩焼きを購入することもできる。

桜島のせいかもしれないが、鹿児島に行くと何か強いパワーを感じ、元気になる。初めて行った時からすっかり魅せられた町だ。




onSubmit="popUp('','EnqPage')" target="EnqPage">





tab_links_b
toppage.jpg
VividStyle.com
http://www.vividstyle.c...
セレクトオンラインショップ VividStyle です。ここから「Sand Art〜禅(ZEN)」が購入出来ます。
link-kagoshima.jpg
サンドボックス
http://www.synapse.ne.j...
サンドアート「禅(ZEN)」(¥6825 高さ20cm、幅38cm)の他各種。限られたショップの限定販売のため、通販が便利。メンテナンスのアフターケアもしてくれる。
指宿市大牟礼3-23-9 0993-23-3896
recommend
ベルマーレサムネール
予測不能だからおもしろい 〜 編集長の都筑日誌2
コラムというほどたいした内容でもなく、ブログというほど無責任でもない日々雑感を、編集部がある港北ニュータウンの片隅からお届けけします。
知識の扉_極真空手_s
極真空手の扉
「知識の扉 〜 Knock 3 Times」は、スポーツ、健康を中心に、その時流に滑り込むための最低限の役に立つ知識を 3 つだけクローズアップして、プロの力を借りて解説するものです。
編集長の ”なんだかなあ” 日誌 1_S
「そんなことでいいのか旅情報誌」〜編集長の 都筑日誌 1
旅のライターとして取材を申し込むと「いくらですか?」と聞かれることが頻繁にあります。今回は有名情報誌、旅行雑誌の編集者とそのライターたち、「あんたたち何やってるんだ!!」というお話です。
Copyright (C) 2001-2007 VividCar.com. All rights reserved.
bu_homebu_weeklybu_indexbu_back
Page 1/1 |