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tab_star2005/12/31tab_end便利で使えるミニバン&ワゴン
サーブ 9-3 スポーツエステートは癒し系 ?
航空機好きの私にとって、サーブとはクルマというよりも戦闘機のイメージが強い。ドラケン、ビゲン、グリペン。短距離離陸性能に優れたこれら防空戦闘機は、アメリカや旧ソ連とも異なる設計思想とデザインがとても魅力的だ。そんなサーブからワゴンボディのモデルが追加されたという。クルマ作りにおけるサーブの独自性とは一体 ? その答えを出す上で、性格の異なる 2 種類のグレードに同時に乗れたことは、紛れも無く重畳であった。

文 =山中航史( VividCar.com )
写真=若林正幸

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山中航史 icon_home山中航史
[WEBディレクター]
S2000とMINIコンバーチブルという、こよなくオープンカーを愛するおっさんです。そろそろお腹と白髪が気になりだす年頃。でも「Always Open!」
サーブ9-3スポーツエステート
サーブが最も売れている国はやはりアメリカ。ついで母国のスウェーデン、イギリスと続く。つまり、右ハンドル車もしっかり作り込んであることが伺える。

サーブを語ることの難しさ

どのブランドについても結局は同じなのだが、とりわけサーブ( SAAB )というブランドを語るのは骨が折れる仕事の一つといえるかもしれない。もちろんそれはサーブに魅力が無いからということではなく、むしろ有り余る魅力をどのようにまとめたらいいのか言葉に窮する、という類のものだ。ハイクオリティだとか、スポーティだとかといった分かりやすい言葉一つで乱暴にまとめることもできない。そういえば、 ABBA ってよく似た名前の男女 4 人組のボーカルグループもスウェーデンだっけ、なんてことも考えながら、巷でよく見かけるのは「航空機メーカーにルーツを持つ」というものだ。もちろんサーブ自身もそれを自らのアイデンティとして活用している。全グレードターボエンジン搭載、ホイールはジェットエンジンのタービン風デザイン、カーゴルームのフロアボードを持ち上げる取っ手は航空機の形をしたアルミ製と徹底している。でも、こうしたことは世の中の大多数を占める非クルマ好き、非インテリにはわかりにくい、というかあまり興味をそそることではない、と考えている。同じようなポジションにいるスバル(こちらは中島飛行機)が、その個性と知性で多くのファンを獲得しつつも、決してトヨタや日産、最近のホンダのようなメジャープレーヤーにはなれない(個人的にはあまりなってほしくない。やっぱり今のスバルが好きだから)のと同じ理屈だ。ちなみに、北米で販売している 92X はインプレッサワゴンがベース。スバルが GM 陣営から離脱した今となっては懐かしい思い出へと変わりつつあるが、こんな接点もあったわけだ。

さて、今回試乗したのはサーブの主力セダン、 9-3 のワゴン版である「スポーツエステート」だ。本国では「コンビ」というちょっと変わったネームを与えられているが、ここにもスバルの「スポーツワゴン」のような匂いがちょっと漂っている。クルマ好きには、サーブといったらやっぱり 5 ドアでしょ ! なんて声も聞こえてきそうだが、現在のラインナップから姿を消して久しい。私もやっぱり 900 や 9000 の頃の 5 ドアの方がなんとなくサーブのイメージがしやすい。それは同じ北欧出身のブランドとして、エステートボディのイメージはボルボの方が圧倒的に強いからだ。ただ、本場ヨーロッパでも実用的な 5 ドアハッチモデルはほとんど見かけなくなった。クロスオーバー流行の今こそリバイバルしてもいいような気もするが、はてさて。

サーブ9-3スポーツエステート
全長: 4,655 mm、全幅: 1,760 mm、全高: 1,540 mm、車重: 1,540 - 1,590 kg というサイズは、ボルボ V50 よりもわずかに大きい。
サーブ9-3スポーツエステート
アルミ製テールゲートを採用するなど、セダンに対して重量増はわずかに 40kg に抑えられている。(上の写真はいずれも「 Aero 」)
9-3 スポーツエステート のインプレッション

閑話休題。 9-3 スポーツエステートは、ボルボでいえば V50 、BMW なら 3 シリーズツーリングに相当するモデルだ。つまりは最も量販が期待されるクラス。ボディバリエーションも多く、 9-3 もセダンとカブリオレが揃う。スポーツエステートは最後の登場となったが、デザイン上の好感度はベストと感じた。以前と比べればかなり穏やかになったが、戦闘機のキャノピーを想像させるラウンドしたフロントウィンドーからリアへと流れるグラスエリアは流麗という言葉がぴったり。それを下支えする、ショルダー部分の斜めの面は、 D ピラーで艶やかなカーブを描いて一気に駆け上がっていく。いわく「アイスホッケーのスティック」のテーマだとか。リア後端には真っ白なテールランプ。こちらは「アイスキューブ」。クリアよりはましだが、テール全体がここまで白いと、ちょっと気圧されてしまったのは事実。周囲に発する個性、という点ではなかなかのものだが、ここまで「北の国」をことさらアピールしなくても、と思ったのは天邪鬼すぎるだろうか。とはいえ、やや短めのリアオーバーハングとリアホイール上にまで切れ上がったテールゲート上端のバランスは絶妙だ。

サーブ9-3スポーツエステート
●左:「 Aero 」に搭載される 2.8 L V6 インタークーラー付ターボエンジン。 184 kW/ 5,500 rpm の最高出力で 0-100 km/h 加速はわずかに 6.9 秒しかかからない。
●右:「 Aero 」専用の 18 インチアルミホイール。ジェットエンジンのタービンをイメージさせる。組み合わされるタイヤサイズは 225/45R18

インテリアの雰囲気はまぎれもないサーブ。ボルボがスカンジナビアンテイストを強く感じさせる女性的優しさとすれば、垂直にそびえたつインパネや高い囲まれ感は男性的力強さといったところ。各スイッチはやや小さく、しかも四角いものが整然と並んでいる点も男性的イメージを強くさせている。なお、これら操作系は高い位置にまとめられており、操作性はかなり良いと言える。ただし、形状がどれも同じでしかもスイッチに印刷された文字は小さめなので、覚えるまではちょっと戸惑うだろう。シフトレバー後ろに配されたイグニッションキーはデザイン的に面白く、事故の際の膝へのダメージの点でも好ましい。左右ハンドルの作り分けの際のコストダウンにも寄与しているのかも、なんて考えるのは野暮だが、キーホルダーなどをつけていると結構ガチャガチャうるさいかもしれない。

サーブ9-3スポーツエステート
●左:実用域である 140 km/h までの間隔を広くとったスピードメーターを中央に配したメーターパネル。右のブースト計がターボの証。
●右:スポーツシート以外のモデルでは助手席に可倒機能が付く。 6:4 分割可倒式リアシートとあわせ、長尺物の積載に威力を発揮する。

カーゴルームは各社創意工夫を凝らしているが、サーブももちろん説得力溢れるアイデアがいっぱい。トノカバーは片手で軽くたたくと、上に跳ね上がって荷物の出し入れがしやすくなるものだし、前述の折りたたみ式フロアボードのハンドルはアルミダイキャストで質感も申し分ない。それ以前に、上質なトリム材は綿毛の毛布のようだし、がっしりとしたヒンジ部分は岩壁の上に立ったような安心感を我々にもたらしてくれる。

サーブ9-3スポーツエステート
●左:使い勝手と上質感に溢れたカーゴルーム。ただし、フロアボード下のサブトランクはかなり浅め。ワンタッチで跳ね上がるトノカバーや両側に設けられたハッチハンドルなどは使用時にありがたみを実感。
●右:「 Aero 」専用オーディオではサブウーファーが追加される。

こうした内外のデザインがどれも心地よさを感じさせてくれるのは一体なぜだろうか。ヤコブセンの家具やバング&オルフセンのオーディオ、ノキアの携帯電話など、スカンジナビアン・デザインに共通して感じるこうした心地よさは、一般的には装飾を廃した機能美にあると言われている。サーブのデザインには、それらに加えて豊かな自然に触れたときのような安心感や包まれ感に近いものがあることにふと気がついた。どのクルマも環境への配慮を強く打ち出しているが、デザインやイメージがストレートに自然を感じさせてくれるものは、実はサーブ以外に無いのではないだろうか。石と氷、森と湖。そうした北欧の天然の素材や風景を思い浮かべたときに感じる「あ、なんかほっとする」「結構いいかも」といった安らぎが、サーブというブランドの隠れたイメージではないかと気がついたとき、先の悩みは一気に解消されたのだ。そして、その思いは実際の走りでさらに強くさせられることになる。

サーブ9-3スポーツエステート
●左:立体的に方向が変わる、積層タイプの吹き出し口。
●右:バタフライ式カップホルダーは出し入れするだけで楽しい。しかし、この手のカップホルダーはどうして 1 個しか装備されないのだろうか ?
サーブ9-3スポーツエステート

サーブ9-3スポーツエステート

サーブ9-3スポーツエステート

アーク: 428 万円
(約 24,500 円/ ps )


初めに試乗したのは、基幹グレードとなる「アーク( Arc )〜 175ps 」。 「リニア( Linear )〜 150ps 」「ヴェクター( Vector )〜 209ps )」とともに 2 リッター低圧ターボ+ 5 速 AT モデルを形成する、それらの中間に位置するモデルだ。

インテリアはよく言えば落ち着いた、悪く言えば地味というのが第一印象。木目の雰囲気がちょっと古いかな ? と感じつつも、不思議とすぐに馴染んでしまった。センターコンソールに組み込まれたサイドブレーキや凝ったつくりの吹き出し口、不思議なアクションを見せるカップホルダーなど、細かいところではかなり楽しい。

走り始めてすぐに感じたのは、ターボを感じさせないスムーズなエンジンの吹け上がり。それでいて豊かなトルクがドライバーの求める加速を、回転域を問わずに十二分に提供してくれる。盛り上がり感とかパンチといった刺激はないが、決して退屈なエンジンではない。それほどまでに、豊かなトルク感というものがエンジンのイメージを左右していることにちょっと驚く。

ボディ剛性やステアリング剛性も極めて高く、高原のうねった峠道をハイペースで流しても、不快な振動や挙動の鈍さは全く感じなかった。エンジンにもまして好印象だったのが、その乗り心地。通常、ワゴンボディは荷物を積むことを想定してリアをやや固めにセッティングするのだが、そこから生まれるリアの突き上げ感はほとんどなかった。ボディ剛性とあいまって、素晴らしい乗り心地だったことは非常に印象深い。

ハンドリングも総じて自然なフィーリング。変なクイックさやシャープさといった余計な味付けもなく、緩さもない。とはいえ、試乗中はその刺激の少なさにちょっと退屈気味だったのが正直なところだが、振り返ってみれば、こうしたフツーさが実は一番大変で、一番大切なことは言うまでもない。

サーブ9-3スポーツエステート

共通装備&豆知識

もちろん試すことはなかったが、安全装備については北欧のブランドらしくかなり力が入っている。

エアバッグや ESP といった電子デバイスの充実ぶりは今更言うまでもないが、豆知識的なポイントをいくつか紹介しておこう。ロー、ハイ両方のビームが HID 化されているバイキセノンヘッドライトは、実はサーブが最初に採用している。高圧かつ 6 本も装備するというウォッシャーノズルも、泥で汚れやすい北の国ならではのものだ。

北の国らしさといえば、凝ったシートヒーターの仕組みも面白かった。自動的にスイッチが入るだけでなく、室内の暖まり具合に応じて徐々にヒーターの温度が下がるというもの。オープンカー乗りとしては、さらにステアリングやシフトレバーにもヒーター機能があれば結構喜ばれるんじゃないだろうか、とも思うのだが。

サーブ9-3スポーツエステート

サーブ9-3スポーツエステート

サーブ9-3スポーツエステート

エアロ: 537 万円
(約 21,500 円/ ps )


次に試乗したのは、最もパワフルな 2.8 リッター V6 高圧ターボ+ 6 速 AT を搭載した「エアロ( Aero )〜 250ps 」。エクステリアにはその名に恥じないエアロキットを追加。とはいえ、言われなければ気がつかないほど外見上はささやかな違いしかない。ただし、これは全モデルとも前後リフトゼロ、 Cd 値 0.33 、巻き上げる泥の付着の防止にまで気を使ったという優れた空力ボディゆえのことだろう。

インテリアもちょっぴり豪華になっている。眼につくのはシルバーのパネルが追加されたステアリング&木目から同じくシルバーに変更されたシフト周りなどの各パネル。ところが、ステアリングではこのプラスチックの部分が手に馴染まない。運転時に握る位置に革とプラスチックの両方があるため、異質感を常に感じ続けることが気持ちよくないのだ。スポーツ走行時につるつると滑るのも悩ましい。ただし、 6 速 AT を駆使するためのパドルスイッチが付くのは嬉しいポイント。

表示部や外部入力端子が追加されたオーディオはかなり嬉しいが、スポーツシート故に助手席の可倒機能はなくなってしまっているのはちょっと残念。 

アークから乗り換えた直後は正直かなりワクワクしていた。期待通り、パワフルな加速は迫力満点。気がつけばあっという間にスピードメーターは 100 km/h を超えてしまう。ところがトルクステアは予想以上にきつく、固められた足回り& 16 から 18 インチとなったホイールによって理想的な乗り心地は完全に消えうせてしまった。確かにクルマは速いのだが、まるで自分の心だけが後ろに置き去りにされたような気持ちのズレが常に付きまとうのだ。もしかしたら逆の順番で試乗していたら結果は異なっていたかもしれないが、一通りクルマの挙動を確認した後に身体が求めていたのは、アークのあの心地よさだった。

サーブ9-3スポーツエステート

フツーが一番 !

スポーティな「エアロ」も、ゆったりとした「アーク」も 9-3 であり、サーブとして必要なモデルだ。ただし、どちらがより心地よく自分に馴染むかといえば、私は断然「アーク」をとる。 42 度の熱めの温泉は気分転換には向いているけど、刺激が強すぎてちょっと疲れる。 39 度のぬるめの温泉は長く入ることができて、しかもストレス解消にぴったり。どちらも同じ温泉であり、どちらも入ってみたいけれど、毎日入りたくなるのはやっぱりぬるめの温泉だ。

この手のクルマは最もスポーティで高価なクルマが一番だと思っていた私にとって、今回の経験はちょっとしたカルチャーショックだった。それだけ年をとった、ということなのかもしれないが、サーブというブランドはことさら若者にアピールするものでもないだろう。「『プレミアム』でもなく『スポーツ』でもなく。私は『ネイチャー』を選択しました。」そんなセリフがぴったりのサーブ。クルマ選びの時には是非リストに加えてほしい一台だ。

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SAAB 9-3 Sport Estate
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サーブ9-5
サーブ 9-5
質実剛健、そして飛ばせば早い

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SAAB 9-5 購入記
1998 年 9 月に購入した SAAB 9-5 2.3t 。現在は手放してしまったが、また乗ってみたい 1 台だった。
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北欧からの新風 ボルボS40&V50
今年の 2 月に新型 S40 & V50 日本導入のアナウンスがされ、待つこと 3 ヶ月、個人的に非常に興味があったこのクルマ達に乗ることができたので、今回はその模様をレポートしたい。
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