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南原竜樹/オートトレーディング/マネーの虎南原竜樹/オートトレーディング/マネーの虎
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tab_star2006/04/27tab_endNambara Style
2005年4月までを振り返る
人生は時として信じられないことが起きる。「笑顔に充ちた毎日」という日常が、一晩経つと遠い昔のことのように思えるほど変わるかもしれない。

文と写真:南原竜樹(オートトレーディングルフトジャパン代表取締役)
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南原竜樹-S.jpgicon_home南原竜樹
[オートトレーディングルフトジャパン代表取締役社長]
クルマだけでなく、僕の日常をお伝えすることで、みなさんに少しでも楽しい時間を提供できればと思っています。こんな話を聞いてみたい、というご要望もお待ちしています。
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23年の瞬間

僕が創業したのは今日から 23 年前だ。僕の父は少々厳格だったけど、何時もチャレンジする事への反対はしなかった。だから僕は小学生のときは電車に乗って遠くに旅に出たり、高校生では自転車で国道を走って何百キロの旅にでたりした。経済的にはふつうの家に生まれて、幼少時代はよく先生に殴られたけど、そのことを除けば平均的な学生時代を過ごし、大学生活半ばにして起業した。

学生時代にアルバイトはよくしたけれど、ほとんどまともに就職というものを経験することなくクルマ屋を始めた。社員は僕一人。事業は並行輸入の卸問屋だった。それから店を出して小売をして、その後小さな会社ながらメイテックにフェラーリを納めたりして、そこそこのうまくいっていたが、今から7年ほど前に、日本のクルマ屋は半分になるという予測を立てて戦略の転換をはかり、東京と大阪に支店を出し始めたあたりから矢継ぎ早に拡大。やがてはディーラーを買収し、それからインポーターへと上り詰め、最盛期には売り上げ 100 億円の規模まで進めていった。

どんな業界でもあると思うけど、まさに我々の業界にもピラミッドというかヒエラルキーというか階層がやはりある、気が付くとそんな中でクルマ屋の頂点まで上り詰めてきていた。振り返れば 23 年間だけど、まるで瞬きする瞬間のようにあっという間に過ぎてきた。

TVR(『西部警察』には当社が車を提供していた)、ロータス(紀宮さんと結婚した黒田さんも乗っている英国のスポーツカー)、ローバー(かつては輸入車のトップ 3 にの牙城に食い込もうとした伝統ある英国車)。これらのブランドを1年とあけずに展開していくオートトレーディングルフトジャパンという会社は、ものすごい力に満ち溢れていた。

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MGローバーに賭ける

しかしながら、インポーターという仕事は今までとは桁違いにレベルの高い人材や巨額の資金を必要としていた。僕はもっとも大きな我が社の事業柱としてとして MG ローバーのインポーターにかけた。彼らの開発の遅れから事業計画の未達を余儀なくされてはいたが、徐々に成功は見え始めてきていた。

順風満帆という言葉からは程遠いけど、オートトレーディングは何とか20年間黒字を続けてきた。しかしながらこの 3 年は赤字へ転落。でも今までとは少し違った事業への先行投資なので、赤字は計画通りだった。

しかしながら資金的にかなり苦しいポジションにあったのは事実だった。企業が、大量の資金を突っ込み成功へあと一歩というところで息切れし始めたときは、買収する側にとっては絶好のタイミングだ。この好機を見逃さない G 社から買収攻勢を受けたのは、当然と言えば至極当然のことだ。

しかしながら苦しい中でも何とか体勢を立て直して、資本業務提携のために何度も打ち合わせを重ねた VT フォールディングの高橋社長と握手をしたのは 4 月 7 日の夜の終電間近だった。
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MGローバーUKの破綻

2005 年 4 月 8 日午前 5 時 50 分。世の中が騒がしくなる前のちょっと肌寒い朝。いつものように起床してメールをチェック。毎朝百通近いメールが来ているけど、今日はそれまでの日々とは少しだけ意味の違うメールが入っていた。「 MG ローバー破綻」という一通の海外からのニュースがそれだった。

このニュースを見た時には正直「あ、そう」と言うしかなかったし、この後に起きる人生で最悪の日々を予想することは全くできなかった。
心の中では何とかなるんじゃないかって思っていたし、買収されて新しい会社になれば今まで通りだとも思っていた。

しかし現実はそんな甘いものではないと思い知らされるのに、さほど時間はかからなかった。

僕は破綻のニュースを聞いてから 3 日後には英国の地を踏んでいた。彼の地で言われたのは「今来てもらっても何も言えない」。次の日も「何も分からない」。そしてその次の日には、社員全員の解雇と閉鎖が決まったというニュースが現地のテレビで報道されているのを見た。

MG ローバーの破綻は英国でも大ニュースになっていた。失業した 6000 人とその家族や取引先、合わせて 3 万人の人たちがご飯を食べていけなくなるって毎日のように報道されていて、その画面を心配そうに見る多くの英国人と一人の日本人つまり私がいた。

全社員解雇、という決断

結局僕は、英国で何も得ることなく日本に帰る日を迎えた。しかし茫然自失ままではいられない。今後のことに決断を下さなければいけない。飛行機の中で一睡もしないで、許された時間の中どれだけシュミレーションを繰り返しても、もう打つ手はなかった。

そして最後に全社員の解雇という決断を下した。

いまからちょうど 1 年前、2005 年 4 月のある朝。僕は社員に最後の挨拶をするため、壇上に立っていた。

いろんな思いが頭に浮かんでは消えた。23 年間の思い出と連れ添った社員の顔。私は普段はかなり感情を表に出さないで仕事ができる方だけど、友人が死んだ 15 年前と同じように嗚咽が漏れた。

この数ヶ月、我が社は苦しい戦いをしいられてきた。が、今日、はっきりとわかった。僕は明らかに失敗したんだ。世間ではまだまだナンバラサンだったら何とでもなるよとか、今度はどんな楽しいことをやるのとか、凄い事をするんですよねとか、無責任に言われているけど、やっぱり人生のどん底にいるのは間違いのない事実だ。

底から見る世界は、まるで深海魚がはるか上に明かりを見るように暗くて冷たい静かな世界だ。

ひょっとしたら、あのいつもと変わらない成田空港に行くことはもう二度とないかもしれない。目的地に何時に着くかも知らないで飛行機に飛び乗り、モデルさんのような美女のいる機内で仕事をする。ついこの間までごく当たり前だったそんな日常は、すでに想像だすら難しくなっていた。

この頃から僕は、自分のことを「私」ではなく「僕」と書くようになった。それは僕の心が変わったからだ。数週間で 23 年かけて築き上げてきたものが一気に崩壊した。それまでの人生が、走馬燈のように流れていった。よく人は死に目に人生の走馬燈を見ると言うけれど、僕はある意味、人生の死に目にいるのかもしれない。

でもオートトレーディングは事業をちゃんと継続しているし、今年になってからは、前回書いたように「国際出稼ぎ人」になっている。相変わらずFクラスには乗れていなくて、エコノミー症候群になりそうだけど、「船のアストン・マーティン」といわれるサンシーカー(http://www.sunseeker.com/)のインポーター権を獲得し、19 日には英国大使館で小さな発表会をする。
今週は零下 20 度のモンゴルに来ているけど、モンゴルの話はまた次回。

南原竜樹著書紹介

『NAMBARA STYLE』(ゴマブックス)

『会社を辞めて会社をおこせ』(ダイヤモンド社)
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オートトレーディング・ルフト・ジャパン
http://www.autotrading....
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僕は「国際出稼ぎ人」
去年、これまでに行った国と地域を数えてみた。アメリカ、英国、ドイツ、イタリア、スペイン・・・結局、50 を越えたことは分かったけどひょっとしたら覚えてない場所もあるかもしれない。

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TVR 本社を訪ねた
私は、その後 TVR 本社へは何度か足を運んだ。最初は、ある人の付き添いというか、アドバイザーとして同行した。去年(2000 年)の春先だったと記憶している。
英国スポーツカーを創り出している TVR。初めて訪ねて以来、その印象はさらに素晴らしいものになってきている。
そうだ、今の私にはもっとも興味深く、そして気になって仕方ないクルマなのだ。

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TVR 本社を訪ねた〜2
 事務所をでて工場に入ると、ファイナルの艤装ラインとなる。ここですべてのパーツが組み込まれ、ラインオフとなる。ラインは、5 ラインほどあり、サーブラウ、タスカン、最新のタモラ、そして消え行くグリフィス、など車種別にラインが構成されている。このラインから年間 1,500 台近い TVR が産み出されているわけである。
南原竜樹_モンゴル_フォトレポート
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