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tab_star2006/06/16tab_endLe Mans 24 h
2006 ルマン 24 時間レース「コラム〜アウディがルマンを選ぶ理由」
1999 年から 2000 年にかけて、ルマン 24 時間レースは大きな過渡期を迎えました。そのタイミングで参戦をはじめたアウディチーム。その後唯一となったワークスチームはひとり勝ちの状態となりました。なぜ他メーカーと逆行してアウディはルマンに参戦しているのでしょうか。VividCar 流に推測してみました。
文 :津島健太
写真:津島健太、アウディジャパン株式会社

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tsushima-SS.jpgicon_home津島健太
[VividCar 元編集長・フリーライター]
現在は「港未来シンジケート」代表としてのインディーズレーベルやイベントプロデュース業と平行して、JMS日本モータースポーツ記者会、ナンバー付きVITZレース1000c.c.CUP 代表、vivid car .com 編集長、作詞家、旅のライター等々イカゲソ並みの数の鞋をはいている。
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2005 年、トム・クリステンセン/J.J.レート/マルコ・ヴェルナー組 Audi R8 が優勝。トム・クリステンセンは前人未到のルマン 6 連勝(7 勝目)。

ルマンの過渡期

かつて「偉大なる草レース」と呼ばれていたルマン 24 時間レース。市販車改造カテゴリーだったレースは 1990 年代からドラスティックに変貌してきました。最も個性的で華やかだった LMGT クラスは 90 年代、世界中の自動車メーカーの格好の PR の場となり、F1 並みの開発費用をかけたルマンに勝つためだけの開発をして市販車としての目的が後ろに隠れたワークスマシンの戦いの場となりました。

90 年代前半から中盤にかけて活躍したマクラーレン F1GTR やその後登場したポルシェ GT1 は、レースのために生まれて来た車とは言え実際に市販車としても流通しましたが、市販車改造とは名ばかりの日産 R390 やトヨタ TS010 が登場するにいたっては、形だけの市販車は製作されレギュレーションはクリアしたものの、偉大なる草レースとはほど遠いレースとなってしまいました。また、性能が上がり速くなり過ぎた速度はルマンの長いストレート上で 350km/h 近い速度でのブレーキトラブルや、1999 年 AMG メルセデス CLK が突然宙を舞ってコース外に飛び出す(ドライバー、ピーター・ダンブレックは無事、翌年よりメルセデスは撤退)という原因不明の危険なアクシデントを招くに至っては、ルマン 24 時間を主催する ACO にも決断の時が来ました。

FIA 傘下ではない ACO はそれまでマーケティングの観点からレギュレーションをゆるめる傾向が見られましたが、2000 年以降メーカー系チームに厳しいレギュレーションを課すように方向転換をしていきます。それによって「偉大なる草レース」の復活を目論んだのでしょうか。21 世紀のルマンはそれに魅力を感じなくなったメーカーが次々とワークスを撤退させることになり、ルマンのフロントランナーも個性的な LMGT マシンから、よりレーシングカーに近くコストダウンと安全性に長けた LMP(プロトタイプ)マシンにと変革しました。

最も衝撃的なことは、長い歴史のルマン24時間レースで、ある意味功労賞的存在だったポルシェワークスの撤退。BMW、メルセデス、日本のメーカーも次々とワークスを撤退させ、ルマン24時間はある意味苦しい状況にさらされることになりました。

そんな中、アウディだけは 1999 年より遅れて参戦をはじめた Audi R8 での参戦を継続。2000 年からの 3 連勝、プライベートチームの手に移ってからも 2004 年日本のプライベートチームでは初めてのチーム郷、ドライバーとしては荒聖治が日本人として 2 人目の総合優勝の快挙を成し遂げた後、2005 年も連覇。連覇を阻まれた 2003 年に優勝したベントレー Speed8 もアウディが開発した TFSI エンジンを搭載していました。進化はしているとは言え同じマシン Audi R8 でこれだけの年数勝ち続けたアウディの戦略は、成功だったと言えるでしょう。

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2004 年、日本人として 2 人目の表彰台の頂点に上がった荒聖治(写真左)。チームメイトはトム・クリステンセン(中央)、リナルド・カペロ(右)

アウディの理由

勝つこと、他のワークス撤退により勝てる確率が高くなったことのマーケティング戦略ばかりが、アウディのルマン継続参戦の理由のように語られますが、果たしてそれだけでしょうか。ルマンマイスターとなった荒聖治が今回のアウディ特集で VividCar の為にアウディの市販車を 4 台試乗してくれました。その中のコメントの随所にその答えが見えてきます。

彼が市販車を語るコメントの随所に「レースカーと共通している」という言葉が出てきます。ルマンで Audi R8 に乗ったドライバーの誰もが「乗りやすい」「疲れない」という言葉を使っていました。これは推測でしかありませんが、ワークス対決の時は F1 のように、ドライバーのフィジカルを犠牲にしてでも、シビアに勝つことをマシン開発に追求しなければ勝てなかった 90 年代に比べて、唯一のワークスとなったアウディは、多少の余裕を持ちながら、市販車をにらんだ開発をすることが可能だったのではないでしょうか。遅れてきたアウディの狙いはむしろ意図的だったのではないか。その推測があたっていないとしても、結果としてアウディは確実にルマンで得たデータと技術を市販車にフィードバックし、市販車の乗りやすさをレースカーに注ぎ込むことができたことは間違いないことです。それがアウディ A6, A8, RS4, RS6 等のプレミアムセグメントを代表するスポーティーブランドとしての地位を確立する結果と結びついているのです。

2001 年にルマンでデビューして TFSI(ターボーチャージャー付ガソリン直列噴射システム)エンジンのテクノロジーは、クアトロシステムなどとともに現行のアウディの市販車に確実にフィードバックされ、レーシングドライバーに「レースカーと市販車の差が最も少ない」と言わせるまでの成果を上げているのです。そういう意味ではアウディのルマン参戦のタイミングは他のメーカーとずれているようで的確であったということではないでしょうか。

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23 キロのロングコース。コースサイドは 30 万人の観客がぐるりとテントで囲む。どこもかしこも朝から晩までビールを飲んで大騒ぎ。

ニュルブルクリンク 24 時間レース

同じ時期に行われる 24 時間レースにドイツのニュルブルクリンク 24 時間レースがあります。私は運良く 90 年代はルマン 24 時間、21 世紀になってからは昨年この VividCar の編集長になる直前まで、このニュルブルクリンク 24 時間でインターネットライブ中継のライターを経験することができました。

ニュルブルクリンクのオールドコースと言えば、パーマネントコースであるにも関わらず、全長 23km。ありとあらゆるコーナーとアンジュレーションの連続で、車が宙を舞う下り坂のジャンピングスポットからフルブレーキングでブラインドコーナーのコーナリングなど、世界中の市販高性能車のテストコースとしての役割が大きいサーキットです。メルセデス、アウディ、BMW、ポルシェ、VW、オペルなど、ドイツの高性能車の聖地ともいうべき場所で、日産スカイライン GTR やホンダ NSX 等もここでテストを重ねられました。

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200台 以上のエントリーのため、例えワークスであってもひとつのピットを 4〜5 台で分け合う。ひとたび天候が変わり一斉にピットインすると大混乱。給油も順番でタンクの奪い合いだが、決して喧嘩にはならない和気あいあいさが偉大なる草レースの良い所?

ニュルのコース

この「世界で最も過酷」と呼ばれるサーキットでルマン同様 1 年に 1 回行われるのがニュルブルクリンク 24 時間レースです。この過酷なサーキットで行われるレースこそ今や「偉大なる草レース」だと私は思います。

ルマンに背を向けた BMW ワークスのチームシュニッツァーをはじめ、ポルシェのセミワークスチームのザクスピード、オペルワークス、そして昨年まで、今は日本でもレーシングフィールドで走っていない日産スカイライン GTR も、国内スーパー耐久シリーズに参戦していたファルケンタイヤチームが持ち込んでいました。メルセデスワークスの参戦も毎年噂されています。

これだけだとルマン化しているように見えますが、そうではありません。居並ぶワークスは、ルマンのようにそのために開発されたマシンではなく、世界中のレースですでに使用しているツーリングカーを持ち込んでいますし、そのワークスとともに、200 台以上ものプライベートチームのエントリーがあり、ミニクーパーや VW ビートル、かなり古いシビックまで世界中のありとあらゆる市販車とアマチュアドライバーも参加しています。そこにアウディワークスも DTM(ドイツツーリングカー選手権)仕様の Audi TT も参戦していたのです。

元 F1 ドライバーや現役ワークスドライバーの駆る、ポルシェの 800 馬力のモンスターターボ仕様から DTM のアウディやオペル、アメリカンルマンシリーズ仕様の BMW M3 が、アマチュアドライバーのミニやビートルと一緒に(台数があまりにも多すぎるため)4〜5 台でひとつのピットを分け合ってレースをする様は、まさに「偉大なる草レース」そのものでした。

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こんなワークスマシンと一緒に
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こんな車やあんな車が 200 台以上一斉に 24 時間走り回ります
2004 年、チーム郷がプライベーターとしてルマン総合優勝を遂げた年、ルマンとニュルと同日開催となり、私はニュルのプレスルームで取材をしながら荒聖治の活躍を見ていました。その時もアウディワークスチームは「世界一過酷な実験場」と呼ばれるニュルブルクリンクのノルドシュライフ(オールドコース)で「偉大なる草レース」に、最高峰のスプリントツーリングカーレースである DTM マシンを 24 時間レースに持ち込んで、おそらく何らかの実験をしつつ、ルマンと 24 時間レース同日ダブルウィンを目指していたことはあまり報道されていません。結果的にはニュルはもともとの耐久マシンを持ち込んだ BMW の勝利でしたが。

アウディの 2006 年ルマン

今年、アウディはルマンでワークスチームを復活させ、新車 Audi R10 をデビューさせます。何故またさらに新車を開発し、ワークスチームが乗り込んだのか。それは TDI というディーゼルエンジンでのチャレンジです。ディーゼルと言えば日本では黒煙をまき散らすトラックのイメージが強いですが、燃費、環境適合性、燃焼効率など、ガソリンエンジンよりも優れている部分も多く、ことモータースポーツのジャンルではハイブリッド以上に費用対効果に優れ、現実的です。オールアルミニウム製のエンジンは近い将来アウディのプレミアムセグメント車に応用されることでしょう。

すでに今シーズン、セブリング 12 時間レースでデビューウィンを果たした Audi R10。ディーゼルエンジン初のルマン 24 時間レースデビューウィンを目指していよいよ明日現地時間夕方 5 時スタートします。

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2004 年日本のプライベーターとしても初優勝したチーム郷の Audi R8。今年最初にチェッカーを受けるチームは?

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Audi Japan Web Site
http://www.audi.co.jp
アウディのオフィシャルサイト
ACO
http://www.lemans.org/
主催者のページ
SUNTORY SATURDAY WAITING BAR(東京 FM)
http://www.avanti-web.c...
1997 年にルマンの話で VividCar オーナーがラジオ出演しています。
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