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tab_star2006/07/08tab_end元気なハッチバック
慣性を制するもの路を征す/フォーカスST
スーパー・ロード・トレーサー
クルマが単なる道具としての耐久財ではなく、趣味や憧れの対象(や人によっては人生の伴侶)になるのは、そこに情緒性やデザイン性といった非常に人間味溢れる要素が多分に含まれているからだと思う。

人が気持ちいいと感じる瞬間。例えば狙ったシュートが入ったり、目標の距離を走りきったりといった、単に身体を動かしたとき以上に感じる快感。そんな達成感に近いものをクルマのドライビングから感じ取ったことは皆さんはないだろうか。

フォーカスST。クルマを運転することの楽しさがどういうものなのかを知りたいという方は、絶対に一度ステアリングを握ってみることをオススメする一台である。

文 :山中 航史(VividCar.com)
写真:阿部 昌也

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山中航史 icon_home山中航史
[WEBディレクター]
S2000とMINIコンバーチブルという、こよなくオープンカーを愛するおっさんです。そろそろお腹と白髪が気になりだす年頃。でも「Always Open!」
フォード フォーカスST
Ford Focus ST
全長×全幅×全高:4,370×1,840×1,455mm、ホイールベース:2,640mm
車重:1,430kg、駆動方式:FF
エンジン:2.5リッター 直列5気筒 DOHC 20バルブ インタークーラー付ターボ
      (225ps/6,000rpm、32.6kgm/4,000rpm)
価格:320万0,000円(消費税込)〜写真のエレクトリックオレンジは 5 万円高。

Sport Technologies

ヨーロッパフォードが自動車業界に放った乾坤一擲の名車、フォーカス。初代にも設定された「ST」モデルが、いよいよ新型フォーカスのラインナップに加わった。先代風に馬力数で表現するなら「ST 225」となりそうなフォーカス ST が搭載するエンジンは、ライバルよりちょっぴり贅沢な直列 5 気筒。しかもインタークーラー付ターボをつけてのこの数値は、2 リッターで 280 馬力をたたき出す国産スーパーマシンに慣れた目にはちょっと心もとなく映るかもしれない。しかし、ST シリーズを生み出す Ford Team RS の狙いを正しく知れば、そして一度でもこのクルマに乗ってみれば、数値など何の評価軸にならないことに気がつくはずだ。

Ford Team RS。かつて SVE(Special Vehicle Engineering)と呼ばれていたその部門は、2003 年にレースカーの開発部門であった Ford Racing と統合され誕生した。つまり、このフォーカス ST がレースカーと同じところで設計、開発されていることをご存知だろうか。ベースモデルの性能が大きく影響する WRC ラリーカーのポテンシャルをいかに上げるか。その為の取り組みなのかもしれない。そしてその結果は皆さんもご存知の通り。マーカス・グロンホルムが駆るフォーカス RS WRC は、セバスチャン・ローブの駆るシトロエン クサラ WRC と激しい優勝争いを繰り広げ、8 戦中 3 勝を挙げている。

そんな WRC マシンの DNA はデザインにも強く現れている。大きく開口したフロントインテーク。力強く張り出したサイドステップ。空力にばっちり効きそうな立派なリアウィングなどは、一見してノーマルのフォーカスとの違いを強く感じさせてくれる。

フォード フォーカスST
前後バンパー両端には、サイドに回りこむようにフォグランプやバックランプが装着されている。やや絶壁感があったサイドビューを和らげるのに効果絶大だ。なお、現在設定されているブルー、オレンジに加え、欧州ではブラック、ホワイト、レッド、シルバー、ガンメタも選べる。これらのカラーがどういった輝きを放つのか興味津々。

3 ドア×オレンジ=ヒーロー

日本に導入されたフォーカス ST は 3 ドア、6MT のみの組み合わせ。何かと実用性が重視される日本で 5 ドアや AT が設定されないことは、台数を売る上でマイナスポイントと感じるかもしれない。実際問題として AT でなければ運転できない、という方は仕方ないが、むしろ 3 ドアであることの利点を少し紹介したい。

一つ目はデザイン。新型フォーカスは前後ウィンドウの傾き具合がかなり近く、それが美しいクーペシルエットを描いているのだが、5 ドアでは B ピラーがそのちょうど中間に位置し、まるでやじろべえのように前から後ろへの流れを阻害しているように感じさせるのだ。しかし、3 ドアでは B ピラーが後退したこと、そして立派なリアスポイラーのおかげでリアへ溜めを作る 2 ボックスらしい流れが復活したのだ。

二つ目は視界。B ピラーが後退したことで 5 ドアでは顔の横にあった柱がなくなり、開放感に繋がっているのだ。ただし、これはシートベルトが遠くなったというマイナス要素も生み出している。オープンカーのように B ピラーがないクルマ用のシート内蔵タイプがあれば解決できるのだが。

さて、目にもまぶしいこのメタリックオレンジのボディカラー。ST 専用色(5 万円高)なのだが、これが実に目立つ。表面のフレーク感も特徴的で、厚めのホワイトパールのような柔らかい光沢を放つ。特に試乗時のような雨の日は鮮やかに発色し、街中でも高い注目を集めていた。先の B ピラーの位置はとりもなおさずドライバーが外から良く見えるということも表すわけで、ちょっとしたヒーロー気分を味わえる。

フォード フォーカスST
基本レイアウトはノーマルグレードと同じ。あえて粗を探すならロアーパネルとアームレストの質感くらいか。見る、触れる、動かすのうち、見る以外は満点に限りなく近い。フットレストがない ? 足を置くスペースがあるのだからそんなことは問題にならないハズ。

フィーリングが大切なインテリア

ドアを開けてまず目に飛び込むのがボディカラーとコーディネートされたインテリア。よく見ると、シートはオレンジとグレーのコンビネーション。派手な縁取りのフロアマットはちょっと気になるが、全体として非常に好感度な仕上がりだ。

ST のロゴが刻印された本革ステアリングは大きさ、太さともに良好。9 時 15 分よりも 10 時 10 分の位置が握りとしてはオススメだが、面白かったのがアルミの触感。シルバーに輝くアルミパーツがステアリング、シフトノブ、サイドブレーキ、ドアパネルに配されていて、それ自体はそれほど珍しいことではないのだが、表面の滑らかさの気持ちよさは特筆モノ。普段触るものだけに、この心地よさにやられてしまった。ただし ! ドアパネルのシルバー部分はドアグリップまで回り込んでおり、ドアを閉めるときなどは逆に滑って握りそこなうこともしばしば。重くて大きな 3 ドアだけに試乗時は気をつけてほしい。

センター上部には左から油温計、ブースト計、油圧計といったサブメーターが配置される。ハイパフォーマンスカーの気分を盛り上げるアイテムとしては有効だが、視認性という点ではやや疑問。触れ幅が狭く、大きさも不足気味なのだ。

操作系のかちっとしたフィーリングは相変わらずなフォーカスの利点の一つ。電子油圧パワステは 3 段階の重さが設定できるが、切り替え方法はやや複雑。一応全ての重さを試してみたが、一番柔らかいモードでも十分以上にスポーティに走れる上に、ステアフィールも素晴らしい。最近は速度に応じて自動的に重さが変わるパワステが多いが、基本がしっかりしたパワステがあればそうしたギミックは不要であることを感じさせてくれる好例だと思う。

フォード フォーカスST
慣れるまではちょっと気恥ずかしいオレンジのインテリア。ちなみにボディカラーにブルーを選ぶと、インテリアもブルーになる。でも、フォーカス ST に乗るならやっぱりオレンジがオススメかな。

祝、レカロ 100 周年

フロントシートはご存知レカロ製。今年 100 周年を迎えるというレカロだが、アフターパーツ用以外の自動車シートでは、フォーカス ST のようなハイグレードモデルにしか供給しないという話をどこかで聞いたがさて。そんなレカロシートだが、着座しての感触は意外にもタイト。特に視覚的にも感じるパッド感がかなり強く、厚めのクッションに押さえ込まれているような印象を受けた。ただし、この圧迫感も走り出してしまえばかえって優れたホールド性能を発揮することを実感した。部分ではなく全体で身体を支えてくれるのだ。常に体全体がクルマと一体になっている感触があるので、クルマの挙動も凄く分かりやすい。

ただし、走り出して同時に感じたのが着座位置の高さ。おそらくフォード内部の規定で確保しなければならない視界の制約からだと思うのだが、もうあと 3 cm は下げたい(筆者の身長は 173 cm)。特にショート&好フィールなシフトノブを操作しようとすると、若干背中がシートから浮いてしまうのが惜しい。

リアシートの居住空間はベースモデルと同じく広い。3 ドアボディにより大きなサイドウィンドウ(開閉不可)を得たが、立派なフロントシートの圧迫感もあって開放感は一進一退といったところか。気になる乗降性だが、フロントシートのスライド量が十分とられているおかげで不満は出ないはず。とはいえ、ドアノブはドア前方に設置されているので、リアシートに座る人がドアを中から開けるのが難しいのは致し方ないところ。

フォード フォーカスST
エンジンルームはあっけないほど簡素。もうちょっと演出があってもいいかも、という気がしないでもないが、これはこれでいいのだ。ただし、わずか 21cc のためにワンランク上の自動車税を支払わなくてはならないのはちょっぴり「遺憾」。

さらなるパワーの封印

新開発の独立バリアブル・カムシャフト・タイミング(Ti-VCT)を採用し、フライホイールの軽量化によりレスポンスを向上したという 2.5 リッター 直列 5 気筒ターボエンジン。5 気筒と聞くと、昔のホンダ インスパイアを思い出すが、あの「グリュリュリュリュ」といった独特の音と振動はこちらは皆無。シューンと滑らかに吹け上がる。

ベースはどうやらボルボ S40/V50 に搭載されているものと同じようだが、あちらは最高出力 220ps/5,000rpm & 最大トルク 32.6kgm/1,500-4,800rpm。フォーカス ST 用はファインチューニングが施され、800 回転低いところで 5 馬力アップを果たしていることからもわかるように、あくまでも実用性を犠牲にしないターボエンジン。悪戯に高出力化するのではなく、実用域での余裕に排気量やターボを使うところは成熟したヨーロッパのクルマ社会の理性の成せる技か。同じように扱いやすさでは定評のあるサーブのターボエンジンよりもさらに洗練されている感じがした。

0-100km/h 6.8 秒とうたわれているが、むしろ注目したのが中間加速。全体としてややハイギアードなギア比のせいか、ゼロスタートはどちらかというとあまりパワフルな印象はなく、40-50km/h あたりからの追い越し加速がとんでもなく速い。400 馬力オーバーのモンスターも何台か経験があるが、シフトダウンなしでここまで追い越し加速がスムーズかつ速いクルマはちょっと思いつかない。大排気量 NA V8 を搭載したマシンのような出だしの一瞬のもたつき感もない。

ホットハッチというと、せわしくシフトチェンジを繰り返しながらしゃかりきにステアリングを操作するというイメージがあるが、フォーカス ST に関して言えば全く正反対。むしろ高め高めのギアを選びながら、豊かなトルクでハイスピードクルーズを満喫する走りが正解。これまで大排気量車が得意としていたこうした走りを 1.5 トン以下の軽量ボディでこなせてしまうのだから、痛快なのは言うまでもない。

フォード フォーカスST
フォーカスの走りを支える 225/40R18 サイズのタイヤ&アルミホイール。非常にダイナミックなデザインがウルトラカッコいい。キャリパーはこの手のクルマに多いブレンボや対抗ピストンタイプではないが、ストッピングパワー&ブレーキフィールに全く不満はない。むしろ初期状態からしっかり効く&踏み加減で調整がしやすい点も好印象。

追従性という名の魔力

エンジン以上に素晴らしいのがハンドリングだ。いわゆるシャシーがエンジンを上回ったクルマ、というのはフォーカス ST のことを指すのだろう。もともとボディ剛性が高かったベースボディをさらに強化し、サスペンション・ジオメトリーを最適化。18 インチホイールというビッグフットを余裕で履きこなす懐の深さを見せる。

よくハイパフォーマンスモデルの足回りを評するのに「硬いが角が取れて不快ではないサスペンション」という、どちらかというとその場を取り繕うような表現を見るが、フォーカス ST の場合は「硬くも柔らかくもなく程良い上、快適なサスペンション」という表現を自信を持って書ける。それくらい洗練されているのだ。

タイトな峠道でもかなりのスピードマスターぶりを発揮するが、私が特に感銘を受けたのがハイウェイでのフットワークだ。走行車線から追い越し車線へ、そして再び走行車線へ。これほど車線変更が思い通りに決まる&快感なクルマは正直初めてだ。ステアリングをきり始める。タイムラグゼロでクルマが向きを変え始める。そこに反対側へと引っ張られるイメージはゼロ。中間加速に威力を発揮するエンジン。右足の動きからタイムラグなしにあっという間にボディを加速する。一瞬で消え去った走行車線のクルマをルームミラーで確認したらそれまでやや右に切っていたステアリングを左へと切り返す。ほとんど溜めを感じることなくフォーカス ST は走行車線へと向きを変える。車線変更終了直前。どんなクルマでも残ってしまうこの引っ張られるイメージ=慣性を徐々に打ち消すために、普通はステアリングの戻しのスピードを徐々に落とす操作を心がけるのだが、フォーカス ST ではそうした配慮は一切無用。スッと戻せば何事もなかったかのようにクルマは直進状態に戻るのだ。

果たしてどんなマジックがそこに使われているのかは定かではないが、まさに自分が行きたい場所へ一切のストレスを感じることなく、5 cm のズレもなく辿り着ける快感。ドライビング・ダイナミクスの体現者とでも言いたくなるハイスピード・スラロームの神様みたいなクルマ。フォーカス ST、恐るべしである。

フォード フォーカスST
とにかく姿勢変化の少ない=ロール量が少ないにも関わらず、慣性に引っ張られることが非常に少ないフォーカス ST。まさに運転がうまくなったような錯覚を味わえる。
フォード フォーカスST
例えば高速道路のインターチェンジにあるような奥に行くほど回り込むカーブ。フォーカス ST なら高いアベレージ速度を維持したまま、しかも一切の不安感を感じさせずに楽々クリアできてしまう。(ただし、タイヤのグリップ限界を超えることはもちろん無理)

真のグッドバランス

これまで VividCar.com では何度もフォード フォーカスをご紹介してきた。すぐれたシャシー性能に裏づけされた確かなハンドリング。そして実用性に優れたエンジン。ハッチバックに求められる居住空間や積載能力も含め、あらゆる領域でクラストップレベルの実力を持つクルマであることは分かっていたつもりだったが、唯一欠けていたものがあったことに今回ふと気づかされた。そう、「ドライブする歓び」だ。

例えば一気に吹け上がるエンジンとか、超クイックなステアリングといった飛び出た特性はフォーカス ST にはない。そういった一部を際立たせることは、特に走りを売りにするクルマの魅力において分かりやすさには繋がるが、代わりに失うものも少なくない。従来、ハイパフォーマンスモデルとはそういうもの、という暗黙の了解の上で得られると思っていた「ドライブする歓び」とは全く異質の、何も犠牲にしない快感が目の前にある。

例えば狙ったシュートがばっちり決まったときのような爽快感。ボーリングのストライクとか、ゴルフのホールインワンとか。クルマを走らせる上でどうしても残ってしまう感覚と実際の動きとのズレがない歓び。ああ、そうか。Ford Team RS が目指したという、ドライビング・ダイナミクスとコンフォートの高次元の融合とはこういうことなのだ。コンフォートとは単に静かで快適な室内空間を維持するということではなく、ドライブすることの気持ちよさのことだったのだ。

初期入荷分はすでに完売との話だが、どうやら秋に向けて追加導入されることが決まったらしいフォーカス ST 。プライスはなんとたったの 320 万円から。正直なところ、私の気持ちはかーなり揺れています。さぁ、アナタならどうする ? どうする !?



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フォード フォーカスST
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FORD Focus ST
ハイパフォーマンスモデル
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フォードジャパンリミテッド
フォード ジャパン リミテッド
http://www.ford.co.jp/
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