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tab_star2001/10/27tab_endハンドメイドの魅力
グローブ・トロッターの鞄
グローブ・トロッターの鞄
 再評価の気運高まる、英国生まれの百年選手。
旅に物語性を求める人々が、愛する普遍の魅力。
文 :山口 淳
写真:四宮義博
協力:グローブ・トロッター ジャパン

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山口 淳_プロフィール_写真Sicon_home山口 淳
[ライター]
北欧のミッドセンチュリーの頃の椅子やプロダクトに魅せられて、かれこれ 10 年になる。縁あって、雑誌『太陽』の北欧デザイン紀行特集(2000 年 12 月号)の手伝いをしたことがきっかけで、2001 年には池袋コミュニティカレッジの「北欧インテリア入門」という講座の講師を引き受けるという貴重な体験もさせていただいた。正直、後者については、慣れないおしゃべりに加え、体系的に勉強したわけではないので馬脚をさらすのではないかと冷や汗ものだったが、この度、その特集と講座がベースとなった書籍『太陽レクチャーブック 003 北欧インテリア・デザイン』(平凡社)という本が刊行された。主要執筆者は、僕を除けば、島崎信さん、柏木博さん、織田憲嗣さんといった北欧やデザインの優れた識者、論客ばかりで、北欧デザインに興味のある人にとっての格好な入門書に仕上がっている。ご高覧いただければ、幸いである。
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鞄の色に合わせた色の鍵が付く
時に「味」が「機能」を凌駕する

 グローブ・トロッターは、現在の PL 法に象徴される杓子定規なプロダクツの基準に照らし合わせれば、いわば時代遅れの鞄である。ゼロ・ハリバートンやルイ・ヴィトンのトランクのように、時代を経過しても、その強固さ、機能性の高さが色褪せない鞄も世の中には存在するが、グローブ・トロッターは、その手の鞄とは少々持ち味を異にする。確かに、実際には軽く、頑丈そのものなのだが、作りは素気ないほどシンプルだし、強く押すとベコっと歪む様子を見ているとなんだか妙に頼りない気持ちにさせられる。塗装は、堅いものにブツけるとすぐ剥がれて移ってしまうし、鍵もちょっとしたテクニックがあれば、すぐにでも開けられてしまいそうなお粗末なものである。実用品としてみれば「モノ」書きとして諸手を挙げて万人に推奨できる類のものとは、お世辞にもいえない・・・・。
 ところが、この欠点だらけの鞄に僕は惚れ込んでいて、ここ何年も愛用し続けている。なにも僕だけがヘソ曲がりの特別なモノ好きというわけではない。いわゆる高感度で知られるジャーナリスト、スタイリスト、カメラマンなど多くの業界人が、この鞄を愛用しているし、ちょっとオシャレな女のコや男たちの間でもこの鞄の評判は、すこぶるいい。

 グローブ・トロッター最大の特徴は、ヴァルカン・ファイバーと呼ばれる特殊な素材使いにある。軽さと弾力性をその特徴とするヴァルカン・ファイバーは特殊な紙を何層も重ね樹脂をコーティングした素材で、当時のいわば最先端素材だったようだ。当然、このヴァルカン・ファイバーを使用したブローブ・トロッターがその頃の最先端の高機能鞄だったろうことは、想像に難くない。グローブ・トロッターは、たわみを分散する構造を採用することで軽くて頑強という、まさに鞄にとって理想的な要素を兼ね備えることに成功していたからだ。
 そうはいっても「紙の鞄」なのだから、いくら頑強でも限界があるだろうと素人は考えがちだが、その耐久性は、実際並みではない。僕らの世代にとっては懐かしい「象が踏んでも壊れない!」というあの有名な筆箱の宣伝コピーのルーツが、このグローブ・トロッターだという説があるといえば、その性能の高さを少しは分かっていただけるかもしれない。そう、グローブ・トロッターは、巨大な象が乗っても、たわみはしても決して壊れないほどの堅牢さを誇る鞄なのである(ただ、調べてみると、昔はアメリカや英国の家具の宣伝文句などにも、このキャッチフレーズは頻繁に採用されていたようなので、グローブ・トロッターをその元祖と認定する根拠は少々希薄といわざるを得ないのだが)。
 とはいえ、当時と違い、今は軽量で頑強な素材を使った鞄は、他にもいくつもある。前述したように、現在のプロダクトの基準に照らし合わせれば、グローブ・トロッターは、決して群を抜いた高品質の鞄とはいえない。欠点だって少なくない。ならば、この百年以上前の鞄のどこにそれほど人は魅きつけられてしまうのか。

 この愛すべき時代遅れの鞄の魅力を人に説明するのに、僕はジーンズの話をよく引き合いに出す。というのも、ヴァルカン・ファイバーの欠点のひとつともいえる色落ちが、ジーンズのアタリとよく似た“味だし効果”を彷彿とさせるからだ。実際、何度か使用してもらえれば、その速攻味出し効果は目に見えて実感できるはずだ。空港のカウンターでチェックインして、鞄が手元に戻ってくる度に衝撃や磨耗の激しい部分の表面がハゲたり、引っかき傷がついて、なんともいい感じに変化を遂げてゆくのだ。特に定番のネイビーブルーは、デニムのタテ落ちを連想させる色落ちが絶妙で、実にいい感じに経年変化を遂げてゆく。使い込めば使い込むほど、より愛着の湧く風合いと味を増してゆく・・・。これこそがこの鞄の最大の魅力だと僕は考えている。
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ネイビーブルーの 30 インチスーツケース
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センテナリーシリーズのサファリ
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ジーンズのように色落ちした約 50 年前のネイビーブルー
昔気質のハンドメイドを貫く

 考えてみれば、今や世界的なトレンドとなっているヴィンテージデニムだって、色落ちはするし、洗うとワンサイズくらいは平気で縮んでしまう欠点だらけの素材である。そんな一種のファッション的な視点から、この鞄が売れている現象を見てみると、なぜ高感度の人間たちを中心に人気を呼んでいるのかもなんとなく説明がつく。機能性や品質だけを見れば、ゴアテックスやハイテク撥水加工素材などと比べものにならないはずの、ゴム引きのマッキントッシュコートやオイル引きのバーブァーのアウターといった、かつての英国を代表する機能を追求した結果、誕生したオリジナル性の高いアイテムが、リヴァイバルしている現象と見事にこの鞄の売れ方が重なっているからだ。日本では、いわゆる鞄専門店ではなく、セレクトショップやデザイン雑貨などを扱う店を中心にグローブ・トロッターが売れているのも、その証といっていいだろう。
 とくにここ日本では、通常ラインでは生産されていなかったレッド、オレンジ、ライトブルーといったスペシャルカラーの別注ものを積極的に導入したことも幸いして、グローブ・トロッターは、懐かしくて新しい、ポップでクラシックなイケてる鞄としてのポジションをすっかり確立してしまったようだ。今年、発表されたアイボリーホワイトのサファリなどは、年間生産量 150 個というレア度もあって、今や入手すること自体困難でウェイティングリストに多くの希望者が殺到しているといわれているほどだ。

 加えて、見ためのシンプルさとは裏腹に、大量生産できない熟練職人の手になるハンドメイドの鞄ということも、グローブ・トロッター人気後押しの一役を担っている。現在、グローブ・トロッターの工場で働く職人は 4 人。旧式の機械で温めながらヴァルカン・ファイバーを曲げる作業は、どことなくモダンデザインのアイコン、プライウッド(積層合板)の作業工程を思わせる。フレーム作り、リベット打ち、ハンドルづけ、内張り、リムつけなど、そのほとんどは職人の手が介する手間のかかるハンドメイドのため、通常ラインで 1 日 20 個しか製造できないというから、現在のプロダクトの常識からすれば、まさにアナログ、ローテクの極みといえよう。
 かつて、英国王立空軍や英国航空が正式採用し、ウィンストン・チャーチル、ダイアナ妃などのセレブリティ御用達として名を馳せた英国生まれの百年鞄。万人が、納得して満足して使えるとは保証できないが、旅に機能だけでなく、エモーショナルなエレメントを望む一握りの人にとって、この鞄は間違いなく最高の旅の友とになってくれるはずである。
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グローブトロッター・ジャパンのプレスルーム
「世界を闊歩する人」の鞄

 グローブ・トロッターは、 1897 年に英国で誕生。その名は「世界を闊歩する人」の意で使われていた当時の流行語からつけられたという。ライト兄弟が初飛行に成功する 6 年前のことだから、当時はその後のジェットセッツに匹敵する、最先端の国際人を意味するネーミングだったのではないだろうか。スタイルは誰もが、トランクケースといわれて思い浮かべるシンプルさが身上。軽く、頑丈な鞄は、今や他にも沢山あるけれど、これほど長く、愛され続けた、キャラクター性のある鞄は他にはそうそう見当たらない。エルメス、ルイ・ヴィトンを鞄業界堂々の主役級とすれば、記憶に残る鮮やかな渋い演技が光るとっておきのバイプレイヤー。たとえてみれば、グローブ・トロッターは、そんな鞄といえるかもしれない。写真上より筆者が推す定番のネイビーブルーの 30 インチスーツケース 7 万 8,000 円。グローブ・トロッターのスペシャルモデルとして今年発表されたセンテナリーシリーズのサファリ、28 インチケースはアイボリーホワイトとヌメ革を組み合わせたワンランク上の最高級ラインのもの。チェックイン後、汚れから本体を守るスペシャルカバー&オリジナルロックつき。 15 万 2,000 円。約 50 年前のグローブ・トロッター(参考品)。輸入元の知人がロンドンの蚤の市で見つけてきたもの。半世紀近い時間を経たことでなんともいえないヴィンテージな雰囲気を醸し出している。

問い合わせ先:グローブ・トロッター ジャパン tel : 03-5464-5248
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http://www.bitway.ne.jp...
今回の記事は如何でしたでしょうか? 20 世紀の傑作品列伝の他の記事はこちらの mission も掲載されて います。是非こちらもご覧下さい。
グローブトロッター
http://www.gtj.co.jp/
今回鞄をお借りした会社
ゼロ・ハリバートン
http://www.zerohallibur...
いろいろなハリバートンがあります
ルイ・ヴィトン
http://www.vuitton.co.j...
日本語サイト
マッキントッシュコート
http://www.rainmac.com/
楽しい雨の日をお過ごし下さい
バーブァー
http://barbour.tslsport...
メーカーの歴史も分かります
エルメス
http://www.hermes.com/
メールアドレスを入れて待って下さい。
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