file370
vivid_mark_s
イギリス特集298イギリス特集212
bu_homebu_weeklybu_indexbu_back
Page 1/1 |
vividsearch2
search_car2
search_article2
tab_star2001/12/16tab_endイギリスのプロダクト
ロン・アラッドのトムバックチェア
ロン・アラッドのトムバックチェア
雌伏の1970、1980年代にそのルーツがあった。
ロンドンを牽引するクリエイターの中心人物はRCAの先生
選・文:山口 淳
写真 :四宮義博
協力 :hhstyle.com

tab_face
山口 淳_プロフィール_写真Sicon_home山口 淳
[ライター]
北欧のミッドセンチュリーの頃の椅子やプロダクトに魅せられて、かれこれ 10 年になる。縁あって、雑誌『太陽』の北欧デザイン紀行特集(2000 年 12 月号)の手伝いをしたことがきっかけで、2001 年には池袋コミュニティカレッジの「北欧インテリア入門」という講座の講師を引き受けるという貴重な体験もさせていただいた。正直、後者については、慣れないおしゃべりに加え、体系的に勉強したわけではないので馬脚をさらすのではないかと冷や汗ものだったが、この度、その特集と講座がベースとなった書籍『太陽レクチャーブック 003 北欧インテリア・デザイン』(平凡社)という本が刊行された。主要執筆者は、僕を除けば、島崎信さん、柏木博さん、織田憲嗣さんといった北欧やデザインの優れた識者、論客ばかりで、北欧デザインに興味のある人にとっての格好な入門書に仕上がっている。ご高覧いただければ、幸いである。
記事ブロック_画像_写真
一枚立てのサイドアーム
環境にも優しい美しい椅子

 果たして、イスラエル生まれのデザイナーで建築家でもあるロン・アラッドの、しかもスイスのヴィトラ社が製造しているトムバックチェアを英国をテーマにしたコラムで取りあげていいものなのか、随分と悩んだ。が、インテリアデザイン系の中で新しい英国を象徴するマスターピースとして書き手としてエントリーするなら、やはり、この椅子しかないだろうという結論に至った。
 その理由については後述することにして、まずはこのトムバックチェアそのものについて語らせていただきたい。

 トムバックの、プロトタイプと呼べそうなスーパーフォーム・アルミニウム素材の椅子がお披露目になったのは、 1997 年のこと。場所はミラノで開催されていた雑誌「ドムス」の主催するファニチャーフェアであった。スチールやアルミニウムなどのメタル素材を用い、オブジェと家具の領域を軽やかに行き来するアーティスティックな椅子を作り続けていたロン・アラッドならではの、そのプレゼンテーションはなかなかエキサイティングなものであったようだ。
 なんせ彼は、スーパーフォーム・アルミニウムのトムバックを 100 脚積みあげ、高さ 10 m の巨大なオブジェを製作してみせたのである。照明を内蔵しライトアップされた、その巨大な塔は、単なる椅子の集合体ではなく、まるでエッフェル塔のような美しい姿で観る者を驚かせたといわれている。
 そして、それまでは、どちらかといえば粗削りなメタルオブジェのアーチストといった印象を持たれていたロン・アラッドは、このオブジェと、メタルのトムバックと、そのメタルをポリプロピレンに置き換えたヴィトラ社の量産モデルによって、ソフィスティケイトされた新世代のアーチストとしての新しいポジションを獲得することになる。トムバックは、つまりロン・アラッドのキャリアにおいてもエポックメイキングな代表作となったわけだ。

 写真のトムバックは、ポリプロピレンを採用した量産型の市販モデルのもの(正確にはアルミ合金のトムバックも 500 脚限定で市販モデルとして販売された)だが、シンプルにみえて隅々まで神経のゆき届いたバランス、機能、ディテールは、デザイン的民度と現代の最新技術が、高いレベルで結実している。
 機能と美しさを両立させたシートのウネ。ゆったりとした体を包み込むようなサイドアームは一枚立て。驚くほど軽いが耐久性も十分確保されている。また、シートシェルの開口部に脚部を通しスタッキングできるようにした意表を突いたアイデアは、どこかユーモラスで楽しい。
 イージーリサイクルできる環境に優しいプラスチック ポリプロピレンを使ったはじめての完成度の高い椅子としても、トムバックはエポックメイキングな椅子といえそうだ。純粋に観察者として見ても、 21 世紀を見据えたグローバルスタンダードな椅子としてトムバックは今後ますます評価が高まっていくような予感がしている。
 多少、補足しておくとポリプロピレンそのものは決して目新しい素材ではない。それが、インテリアデザインの世界で再注目を浴びるようになったのは、自然や環境に優しい点が時代のニーズとリンクし始めた 1990 年代後半になってからのことだ。それを決定づけたともいえるのが、環境に関しての規制が厳しいドイツに生産拠点を置くスイスのヴィトラ社が 1998 年にオルガテックでポリプロピレンを用いた家具を前面に打ち出したことだった。ヴィトラの FRP をポリプロピレンに置き換えた新パントンチェア、同じくイームズの新シェルチェアなどもその好例だが、少々辛口な言い方をすれば、ポリプロピレンになったことで両者とも、美しい椅子としての魅力は格段に落ちてしまっている。ポリプロピレンの使用を前提に量産モデルに移行し、やはり 1998 年のオルガテックで、パントンやシェルチェアと同時に発表されたトムバックとの決定的な違いがそこにある・・・。
記事ブロック_画像_写真
体を包み込むしょうなデザイン
記事ブロック_画像_写真
開口部に脚部を通しスタッキングが可能になる
記事ブロック_画像_写真
デザイナー「ロン・アラッド」
ニュージェネレーションの抬頭

 そうそう先送りにした、なぜ、イスラエル生まれのデザイナーの、スイスメイドの椅子を今回取りあげることにしたのかを、説明しておかなければならなかった。それはトムバックが、現在の世界的に活躍するイギリスのクリエイターたちの影響や彼らのモノづくりスピリッツを発現した象徴的なケーススタディといえるからである。
 トムバックは、 1970 年代、 1980 年代の不況の時代、ひたすら爪や牙を磨き雌伏の時代を送っていたアンダーグラウンドのクリエイターたちの仕事が EC に象徴される国際化やグローバリゼーションの波に押され、洗練化、大衆化された幸福な成功例のひとつだった。実際、現在、ファッション、アート、デザインの世界で、新世代のニューリーダーと称されるキーマンのほとんどは、 1970 年代、 1980 年代に現在のモノづくりのベースとなる、金にはならないけれど野心だけは人一倍ユニークでオリジナリティ溢れた野心的な試作や作品づくりに没頭した時代を必ず経てきている。 
 家具・プロダクトデザインの世界でいえばジャスパー・モリソン、トム・ディクソン、マイケル・ヤング、そして、ロン・アラッドなどは、まさにその代表格で、彼らは皆、自分のスタジオやワークショップで試作や作品づくりに明け暮れた時代を過ごしている。
 ロン・アラッドの初期の代表作で 4 枚のスチールをナットで留めただけのウエル・テンパードチェアやステンレス製のソファ ヨーロッパ、ステンレススチールを溶接して作りあげたビッグイージーなど、作品性が高い椅子の多くも、ロンドンで教育も受け、郊外にワークショップを構えていた彼の持ち味と特徴が色濃く反映されていた。そんなモノづくりの姿勢と視線から出発しながら、量産品としての落とし込みと時代の要求に応えることに成功したトムバックは、つまり、新しい英国育ちのクリエイ
ターが支える英国発のプロダクト、インテリアデザインのパワーをそのまま体現しているのである。
 現在、ロン・アラッドは、トップデザイナー、建築家としての仕事のかたわら、 RCA (ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)の教授をつとめ、後進の指導にもあたっている。アートとデザインの大学院という位置づけのこの RCA は、かつて、ルイジ・コラーニやナイジェル・コーツも教鞭をとったことで知られ、前出のジャスパー・モリソンやトム・ディクソンもここの卒業生である。インダストリアルデザインと家具デザインを融合掲げた新しい学部を RCA で立ちあげたロン・アラッドは、自らデザイン会社を経営しながら、次のモリソン、ディクソンを育てる役割をも担っているという理屈になる。現役のトップデザイナーが教壇に立つ育成機関・・・イギリスの底の知れないパワーの秘密はこんなところにもあった。
 次のロン・アラッドやモリソン、ディクソンが、ここから羽ばたく日は、そう遠くないことだろう。
記事ブロック_画像_写真
明るい店内の hhstyle.com
遊歩道の人気店

 今回、トムバックを撮影のためにお借りした hhstyle.com は、アメリカ篇のエメコチェアの時にもご協力いただいた、原宿は遊歩道沿いにあるインテリアショップ。ここはヴィトラ社との関わりが深く、日本の総輸入元となっているインターオフィスの直営ショップでもある。椅子を中心に、優れたデザイン雑貨などを数多く紹介している。トムバック 26,000 円。色は写真のレッドの他に、ホワイト、ブラック、ブルー、イエローなど全 5 色ある。個人的には、やはりホワイトがイチ押しだ。
 
問い合わせ先:hhstyle.com Tel:03-3400-3434
tab_links_b
ロン・アラッド
http://www.ronarad.com/
いろいろな作品を楽しめます
hhstyle.com
http://www.hhstyle.com/
オンラインショップも充実
RCA
http://www.rca.ac.uk/
ヨーロッパのアートの世界です
recommend
サマリー情報_サムネール
コンプリートアングラー
週末は英国正統派のリゾートで
発表会サムネール.jpg
ロータス 新型エキシージ発表会
2004 年 5 月 17 日ロータス・カーズの日本正規輸入代理店である、エルシーアイ株式会社は、恵比寿ガーデンプレイス内のガーデンルームにて“ロータス ニュー・エキシージ”の発表を行いました。
サマリー情報_サムネール
ロンドンで居心地のいいホテルを見つけた!
ロンドンでいちおしのホテルは「ホテル猫」のいるプチホテル
サマリー情報_サムネール
ハンプトン・コート宮殿
ロンドン郊外にあるハンプトン宮殿はヘンリー 8 世のお気に入りとして有名。
広い庭園は一見の価値あり。是非、お天気が良い日に出かけたい。

サマリー情報_サムネール
ブロンプトンの自転車
英国折りたたみ自転車の王様といえば、アレックス・モールトンでも、シティバイクのスタンダードといえば、このブロンプトン
サムネール
ライトウエイト・スポーツカーというクルマの定義について
ライトウエイト・スポーツカーという言葉の定義というものは存在するものなのだろうか。
MG80th_105.jpg
第 54 回 MG カー・クラブ MG 80 周年記念イベント
Sum1.jpg
チームロータス 50 周年イベント開催!
イギリスのスポーツカーメーカーであるロータス社。そのコンペティション部門であったチームロータスが、その創立 50 周年を祝うイベントを開催しました。
サマリー情報_サムネール
セント・ジェームスのバスクシャツ
1923 年、あるスタイルセッターの発見によって船乗りのユニフォームは小粋なリゾートウエアになった
Copyright (C) 2001-2007 VividCar.com. All rights reserved.
bu_homebu_weeklybu_indexbu_back
Page 1/1 |