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tab_star2002/06/18tab_endクラフトマンシップ魂を持つファクトリー
こわれたのを直す。ではなく、こわれないよう乗ってもらう。
(有)崎山自動車サーヴィス
十代の頃から外国車のメンテナンスを手がけて 40 年間、その道では超有名な崎山自動車サーヴィス。某自動車評論家も信頼を寄せるというオーナーの崎山さんだが、乗った車も数知れず。だからこそ、それぞれのクルマの味もわかるし、正常な状態というのもわかるという。趣味もクルマ、仕事もクルマ。そのお仕事ぶりをお聞きした。
文 :齋藤利也
写真:柴田康年

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齋藤利也_プロフィール_写真Sicon_home齋藤利也
[VividCar特派員]
オープンというものが、こんなに気持ちのいいものだとは思わずに齢を重ねてしまったと、最近後悔している。連休中の某日、時に渋滞にはまりながら、海岸沿いを走った。真夏のような日だったせいか、オープン初心者の私は軽い日射病になりつつ、車を転がしていた。日焼けの跡とともに、あの楽しかった一日が心に焼き付き、今度クルマを買い足すとしたらオープン以外にないと思ったのだった。買い足せるのかい。
ご本人もスポーツカー好き。

 10 年ほど前、キミーラがブレークした頃、テレビの自動車番組で観て、イギリス人はやるなあと思ったのが、崎山さんの TVR に対する第一印象だった。「いちばん気に入ったのは、ボンネットのエア抜きでしたね。その頃、イタリア車のデザインがもてはやされていたりしてたけど、それとは対照的な骨太な感じの車が出てきたという感じを受けた」という。崎山さん自身、これまで 60 台を越えるクルマを乗り継いできているが、その中で絶えず保有していたのはスポーツカーである。
 「独断と偏見ですが」と笑ながら話してくれた個人的な趣味としては、「ライトウエイトのスポーツカーが好きですね」。GT カーよりも、振り回せる車が好きだという崎山さんのアンテナに TVR は好感をもって伝わったようだ。それからしばらくして、S4 に乗るTVRオーナーが困ってるというので相談にのってあげたのがきっかけで、TVR を扱うようになる。
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既に輸入車好きの方には有名な崎山氏
TVR のことなら、この人に訊け。

 すでに、輸入車オーナーの間では崎山自動車サーヴィスの名声は知れ渡っているところだが、特にTVR乗りの間では、崎山自動車サーヴィスは聖地ともあがめられ、TVR の駆け込み寺ともいわれている。崎山さんを師と仰ぐ人たちも多数おり、TVRの運転法からレクチャーを受ける方もおいでのようだ。
では、ちょっとそのさわりだけ。
 「アクセルやクラッチは思い切りよく一刀両断ですぱっと決めないといけない。これは、スポーツカー全般での持論なのですけどね。特に、タスカンやサーブラウのツインプレート・クラッチの場合、半クラでちょこちょこつなぐのは熱で膨張するし、いいことないです。」
それと、エンジンの特長をいかにつかむか、トルクのある回転域を把握してタイミング良くシフトチェンジする、そんな乗り方を心がければ、楽しい走りができるだろうと語る。振り回せるスポーツカーが好きという崎山さんだが、
 「TVR を振り回すには、かなりの腕がいりますね。最高速よりもワインディングを走るのが楽しいクルマ。そこをわかって乗ってほしい。」
 TVR に搭載されたローバー V8 は、三千から四千回転の辺りがおいしいとのこと。「この回転域が音も良いし、3 速と 4 速を使い分けながら走る、つまり、昔ながらの運転のセオリーで楽しめるクルマですよ。」
 その上、疲れたら高めのギアにホールドしてらくちんにも乗れる。
 「この辺りがうまく作ってありますね。エンジンのチューニングというか、エンジン・マネジメントの味付けがとてもうまいと思いますよ」。TVR のクルマづくりは、乗る人を、操る人を、心地よくさせる術を心得ているというところか。振り回すのに腕がいるという指摘とともに、崎山さんはもう一つ注意事項を教えてくれた。
 「だいたい買って 1 年半くらいの頃、車に慣れてきてちょっと振り回してみようかなって時に事故ってますね。回頭性がいいから、小さなコーナーが楽しいんですが」。ついつい、攻めすぎて、破綻をきたすということか、オーナーの方もご用心を。
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日々の管理が大切
水温管理はオーナーの仕事。

 TVR を健康体で維持するためには、どんなところに気を使えばいいのだろうか。多くの TVR を手がけ、救ってきた崎山さんにポイントを訊いた。
 「基本的には丈夫なクルマですよ。以前は、ファンベルトやオルタネーターが弱いというのもあったけど、今はそんなこともない。ただ、2 〜 3 万キロでサスのアッパーアームとロアアームの根元のブッシュは交換したほうが良いですね」。さらに、手作りのクルマだから、雨漏りは当たり前と思ったほうがいいともいう。雨が原因でワイパーモーターがだめになったりコンピュータに水が入ったりというトラブルもあるらしい。だから、屋根のある駐車場は絶対条件。他に、炎天下に置くと、セキュリティシステムが効かなくなり、ドアロックも解除されなくなるという。
 「日々の管理としては、かなりきつめのリミテッドスリップデフが入っているので、まめにデフのオイルは交換してやりたい。あとは、水温管理をしっかりと。これはドライバーの仕事です」。キミーラやグリフィスは、エンジンをフロントミッドシップにマウントするために、エキゾーストパイプの取り回しをエンジンより前方に一度出しており、そこに触媒がついて、そこからの熱がエンジンに当たる。夏場ともなれば、水温は 98 〜 100℃ 前後になる。オーバーヒートを避けることは、エンジンを守ることでもある。
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東京・三田の崎山自動車サーヴィス

勇気づけてあげたいから。

 「うちはただの修理屋ですよ」と笑うが、二足のわらじは履けないと販売には手を出さない。「うちはこわれたのを直す。でも、それより、こわれないように乗るというほうがオーナーの方にはいいでしょ。だから、メンテナンスやドライビングのアドバイスを通して、楽しく乗るお手伝いをしてます」。TVR オーナーをはじめ崎山自動車サーヴィスにやって来る人たちを、元気づけてあげたい、勇気づけてあげたいという思いで、アドバイスもするし修理もする。そんな熱意は、多くの崎山ファンを作っている。
 インタビューの間にも、頻繁に電話がかかってきた。TVR を整備中のメカニックさんや初めて電話してきた TVR オーナーの方など。その電話に適切なアドバイスを送っているのを聞きながら、取材者は愛車はこういう人にみてもらいたいものだと、切に思うのだった。「私の知ってることはなんでも教えますよ。東京以外の方の場合は、近くの修理屋さんの方が何かと便利でしょ、だから、そちらに預けたほうが良いですよといいます。で、こっちの知ってることはなんでも教えるし、パーツ屋さんだって紹介できますから。やる気のある修理屋さんなら、いろいろ聞いてくるし。」
 アバルトになんの苦もなく乗れるように健康管理には気をつけているという崎山さんは、頼もしい笑顔を見せてくれるのだった。
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