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tab_star2002/03/21tab_end海外レポート
台所を仕切るのはパパ。見事な腕前。
〜ル・マンの家庭料理編〜
 フランス、ル・マンと言えば 24 時間耐久レース。
 でも、ここでお話するのはこの世界的に有名なレースのことではなくて、車に疎い人にも楽しい食べ物のこと。
文・写真:高橋美佐
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高橋美佐_プロフィール_写真Sicon_home高橋美佐
[仏語伊語通訳/翻訳]
食べて、飲んで、夢見て、恋して・・がわたくしの守備範囲。
皆さんの知りたいトピックス、リクエストください!
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町の名士は主夫もお手のモノ?!
まめまめしく頼もしい、フレンチパパ

 イラストレーターのケイコさんは、私の 10 年来の友人。フランス人のご主人との間に 2 児をもうけ、現在はル・マン近郊の片田舎のお城みたいに大きな家に幸せに暮らしている。
 ご主人のジャン・ベルナールは彫刻家、それも屋外や町の広場に巨大なオブジェを作ったりしてる人だから、体はクマさんみたいに大きくて、一見するとヨーロッパの童話に登場する森の奥のきこりのおじさん。でもそんな姿に似合わず、仕事となると一日中携帯電話を離さずにてきぱきと事務をこなし、パッと車に飛び乗ったかと思うと緻密な段取りで予定通りの時刻に帰宅する。すき間の時間には満面の笑顔をたたえながら 5 歳になる息子の遊び相手。
 そのフットワークの軽さには頭が下がるんだけど、フランスにはけっこうこの種の「精力的な人」がいる。

 今の日本人が一般的にフランス人に対して抱いているイメージがどういうものか、職業上さまざまな例外を見ている私には正直なところ見当がつかない。ただ、いわゆる「あんまり働かない、なのに理屈だけは立派」というフランス人像が定番だとすれば、それはいささか偏った見方、という気がする。
 律義で、朝から晩まで働きっぱなし、そして万事他人に対してツボを押さえた気の使い方ができる人、というのだって、ちゃんといるのである。

 そしてこのジャン・ベルナールの場合は、彼の住む地域での社会的な立場がその行動パターンを形成した部分も大きい。代々この土地で生活し、日本で言うなら庄屋の本家か、村長さんち、というところ。長い年月、農産物の管理から、周囲の住民の暮らしのこまごまとした面倒までを見てきたのだろう。今でも屋根が壊れたといえば近隣から人夫を雇い、妻が病気といえば巨大な家の掃除を近くの老婦人にまかせ、日銭を支払う。たのもしい地域の大黒柱でもあるのだ。
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上段に特大の壺なんて、女手だけではちょっと
ムリそう・・。ん?っていうことは??
"男の手料理"のお手並み

 しかし、このまめまめしくも重々しい人物の真骨頂は、その台所さばきにあった。
 滞在中、この一家とテーブルを囲むこと数回。供される料理はすべて彼の手によるものだった。

 初日の昼食にはブーダン・ブラン(太いソーセージ)を鉄板で焦げ目がつく程度にあぶったものが登場。息子のルイはこれが大好物と見えて「ブーダン・ブラン!ブーダン・ブラン!」と興奮してテーブルを叩いている。が、まさに美味。ランダムに刻んだリンゴとジャガイモを少量のワインで柔らかく煮たものがつけ合わせ。ああ、フランスのイモとリンゴって、なんて味が濃いのだろう、とため息。
 香ばしい黒いパンはこの地方のもの。
 昼食でも飲み物は当然ワイン。口当たりの良いかなり甘い赤ワインはなんと自家製。
 デザートは、泡立てた卵にキャラメルで味付けをした、きわめてシンプルだがしっかりとこくがある一品。「何かデザート食べるかい?」「ぜひ!」と答えてから作り、10 分で出てきた。

 この時点で私はもう口をあんぐり。
「ケイコさんが風邪をひいてて家事ができないから、たまたまご主人が腕をふるっているのかしらん?」
 しかし、2 人が結婚してから建てたはずのこの家の台所の造りは、どう見ても日本人女性の体格には合っていない。食材を入れておく壺、ワインの容器も巨大で重い。何から何まで「クマさんサイズ」だ。
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これがウワサの"ブーダン・ブラン"、垂涎の一品
え〜っ!コレがアレ〜っ??

 夕食には近所の家族が招かれた。画家の父親に、19 歳と16 歳の娘さん。普段はパリで生活している彼ら、週末は大抵ル・マンで過ごすのだそうだ。
 夜のメニューはサーモンのグリル、牛の内臓の煮込み。サーモンにはしちめんどうくさいソースなどは何もかかっておらず、ただ岩塩をまぶして焼いただけ。薄くスライスした臓物は血の色そのままの肉汁がジュウジュウと音をたてており、これも数種のハーブが効いてる程度、しかし美味い、なんなのだ、この豊かな風味は!そして肉汁にからめて食べるようにと細めのパスタが無造作に添えてある。ティーンエイジャーのパリジェンヌたちは、もりもり良く召し上がること!

 ふとテーブルを見渡すと、何やらもう一品・・・昼の残りのブーダン・ブランが輪切りにされて、つけ合わせだったリンゴの残りと一緒に煮込んであった。昼はブーダンのシンプルな塩味とリンゴ本来の甘味を別々に楽しんだものを、数時間後にはひとつの鍋に入れ、ちょうどよく 2 つの味がなじんだタイミングを見計らっていただく。なるほど。こうすれば無駄はでないし、テーブルは見栄えがするし、しかも味も趣も変わるのだから「え〜っ、またコレ〜っ?」という子供の文句も出ない。
 夕食にはワインもパンも 2 〜 3 種出てくるのが当たり前で、これもすべて地元産。

 しかし、いくら若者 2 人が猛烈な勢いで平らげても、鮭も臓物もまだたっぷり残っている。ずいぶん気前よく焼いたり煮たりしたものだけど、これ、このあとどうするんだろう???
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初日の昼食。でもこれはまだまだホンの序の口、フランス家庭料理は思いもかけないほど奥が深かったのです。。
変幻自在な献立は、とっても経済的

 そしてあくる日の昼。テーブルに就くなりツンと食欲をそそるなつかしいスパイス、カレーの匂いが。昨日のサーモンが今日はなんと「カレーチャーハン」になって再登場。ヨーロッパでよく使われる香りの強いお米に、細く長〜くスライスしてよ〜く炒めた玉葱、ポロポロにほぐしたサーモンの身、干しぶどうをまぜ、カレーパウダーで仕上げた料理。チャーハン、なんて呼んだら何だか失礼なような、気品あるお料理。なるほどね、翌日こうするつもりでわざとサーモンには余計な味をつけてなかったのね、と納得。
 牛の臓物のほうはというと、パスタの残りに一晩からめたままにしたものをオーブンで焼き、汁気を飛ばしてあった。歯触りは全く変わるけど肉の風味はそのままで、しかも端っこが「おこげ」になるのでこれまた食べて嬉しい花いちもんめ。この肉もパスタとの 2 段階にわたる相性を考えて細長いスライスだったんだ。
 3 度目の登場となるブーダン・ブランは肉とリンゴの汁がお互いすっかりしみわたり、ほとんど「つけもの状」になっていたけど、田舎風の固いパンにのせて食すとこれがまた美味。感心したのはリンゴの切り方。24 時間後にいちばんトロッと食べやすい、でも煮崩れていないというスレスレの大きさ・厚さにカットしてあったわけだ。

 さて、その夜には「新顔」のステーキが登場。ドーンと大きなお肉の塊。今度はこれが、2 日も3 日もかけて姿を変えていくわけね。

 肉だって、魚だって、野菜だって、大きな鍋やオーブンで大量に調理したほうが味も香りもいいにきまっている。けれど 1 回の食事で食べきるのはむずかしい。毎回同じ出し方では飽きてしまう。食材を知り尽くし、美味いものを食べたい!という欲求と、最後の一切れまで無駄にせず、という経済観念が生んだ、この連鎖式料理法。
 長い伝統に料理人本人のセンスも加わってさらに磨きがかかり、私にとって「至福のル・マン体験」を与えてくれるにいたった。ああ、思い出すだけでホッペタが落ちそうです、何度でも!
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PEUGEOT_406_SPEUGEOT 406
RENAULT_Lutecia Renault Sport_SRENAULT Lutecia Renault Sport 2.0
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ACO
http://www.lemans.org/
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