 |  |  | | | もう1つのルマン Vol.3 | | Cinema [Le Mans] inside - ルマンと映画 |  | |  | |  | |
|  |  |  |  |  |  | 高橋二朗 [フリーランス・モータースポーツ記者] |  |  |  | | 編集長の永山氏によってインターネットの世界を知った。あれから 10 年。いまや、インターネットなしには仕事ができないまでになった。再び永山氏がモゾモゾと動き出すというので、長いもの(永山もの)に巻かれることにした。執筆させてもらいつつ、楽しませてもらうことにした。よろしく。 |  |
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 |  |  |  |  |  | 1 コーナーから見たグランドスタンド前、 当時はピットウォールさえもなかった。 |  |
 |  | 現在の最終コーナーから見た大改修を受けたピット設備
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|  |  | 本物の雰囲気
ピット裏にあるチームのモーターホームから狭いピットの通路を通って観客で満員のグランドスタンドから見下ろせるピットへ向かうマイケル・デラニー。デラニーは、ご存知マックウィーンだ。当時のピットはコンクリートの打ちっ放しの決して広いものではなかった。通路からは、木のドアーをあけて、各ピットへ入れた。その通路は細かな砂利が敷かれていて歩く度にザクザクと音をたてた。ピットが狭いのでチームによっては通路にタイヤやパーツ類を置いていて、狭い通路がなおさら歩きにくかった。そして暗いのだ。 その通路からピットへ出た瞬間に一気に雰囲気が変わり、 24 時間レースの喧噪が演出されていた。映画でなくとも、実際のピットの裏と表では雰囲気が違い、コンクリートの壁をひとつへ立てただけで動と静が分かれていた。取材していても、夜中など喧噪から逃れたいときにはピット裏へ出たことがあったのを記憶している。ましてや、ドライバー達が休息をとるモーターホームなどは遠くで走行するマシンのエキゾーストノートを聞きながらひとときの休息をとる場所となっている。その古きピットエリアーは 1990 年代に入って大改修を受けて近代的な設備を持つ広いピットときれいなゲストラウンジ、その上には使いやすくて巨大なプレスルームが作られた。今となっては昔の”きたない”ピットエリアーが懐かしい。 毎年 6 月の夏至に近い土曜日から日曜日にかけて行われるこの 24 時間レースは季節からいえば初夏。しかし、年によってはとても暑いこともあり、とても寒いこともあった。この映画の舞台となった 1970 年は寒い年であったように思われる。サーキットに押し寄せる観客の服装、そして主人公達のいでたちでも「寒かったのだろうな」と感じさせる。ヒロインのリサはレーンコートを着っぱなしだし、デラニーも自分のスティントを終えるとコートを着込んだ。リサのボーイフレンドが事故に遭い、慰めているときもデラニーはレーシングスーツの上にコートを羽織っていた。 映画では、レース途中に雨が降ってきた。この季節、雨が降ることは確率が少ないのだが、たまに長く降ることがある。そうなると本当に寒い。 1995 年に関谷正徳選手が日本人初の優勝を飾った年も雨が長かった。それでも観客は辛抱強くレースを観戦してくれるのだ。それには本当に感心させられる。やはり欧米の人達の身体能力は根本的に東洋人とは違うのだなと思い知らされたことがある。そう言えば、映画の中では夜のシーンは少ない、例のリサとのシーンや、ピットでの作業シーンなどが中心だった。考えてみれば、真っ暗な中で疾走するマシンのライトの軌跡だけを見せてもしょうがないのだ。われわれも、夜はピットでの取材を中心にしながら仮眠を取ったりする。 |
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 |  |  |  | 栄光のルマン DVD より 発売元:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン ¥3,980(税抜)2003 年 6 月 27 日発売予定 |  |
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 |  |  |  | ディレック・ベル、ジョー・シェファートらと マシンを前にドライビング談義に加わるマックイーン |  |
|  |  |  | 大きなスケール
「栄光のル・マン」以降、このレース映画をこえる作品はまだ作られていない。そのスケールの大きさや迫真のシーンは、フィクションでありながら実際のレースであるかのように観るものを引き込んでしまう。主役として出演するだけでなく、マックウィーン自身が深くこの映画の製作に加わったこと、そして彼自身がプロのドライバーと遜色ないドライビングのできる人物で、レースを知っていたことが素晴らしい映画を作らせた。 現在、このような映画を再び作ることができるだろうか。マシンのラインナップだけを見ても、ポルシェとフェラーリが全面的に協力をしてくれて多くのマシンを貸与してくれている。そして、当時のトップドライバー達が多く協力してくれているのだ。往年のレースファンならその名前を聞いただけで、この顔ぶれのすごさを実感できる、 F 1 でも活躍したジョー・シェファート、若きディレック・ベル、スポーツカーのベテランドライバー、デイビッド・パイパー、舞台となった 1970 年のル・マン勝者のリチャード・アトウッド、ポルシェのテストドライバーでありレーシングドライバーのユルゲン・バルト、ラリーとレースの両方で名を馳せたヴィック・エルフォード、地元フランスで頭角を現していたジャン−ピエール・ジャボウイユ、ジェラール・ラルース、そしてロルフ・シュトメレンやヘルムート・ミューラーなどなど、もう国際的に知られたドライバー達がこの映画に協力し、実際に走行したり、アドバイスを与えてくれた。まったくもって豪華なマシン群、ドライバー達の顔ぶれだとため息が漏れてします。このドライバー達が前面に出てくるのではなくて、裏方としてこの映画のスタッフとなっているというところがまたしても贅沢な映画だと感心させれられてしまう。 それでも、やはり映画であるから、派手な爆発シーンやクラッシュ、そしてクライマックスではマイケル・デラニーとフェラーリのエース、エリック・スターラーが激しく争い、時には接触しながらゴールを目指す。あのユーノディエールのストレートで、そしてあのスピードでマシンを接触させてしまうのはやはりちょっとやりすぎなのは当然だが、ラストシーンとして観客に緊張感と最後の感動を与える演出としてはあれぐらいは必要なのかもしれない。ちなみに、デラニーは優勝しない。 2 位なのだ。これがまた、格好良いではないか。マシンを降りスターラーと目で会話する二人。男の闘いが終わった。 |
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 |  |  |  |  | スクリーンから飛び出さんばかりの勢いで 迫ってくるクラッシュシーンが目玉。 |  |
|  |  | 最高の作品
自動車レースを題材とした映画は、数年ごとに制作されて上映されて来ている。昨年にも CART シリーズを闘うレーシングドライバー達をテーマにシルベスター・スタローンが脚本、主演の「ドリブン」が日本でも公開された。残念ながらロードショウを見るチャンスを逸してしまった。と、いうか予告編や前評判だけで興味を削がれたと言った方が正しい。実は、この映画は当初、アイルトン・セナをモチーフとして F 1 GP の世界を映画にしたかったらしい。スタローン自身が数年前、頻繁に F 1 のパドックに姿をみせて事前取材をし、F 1 界のボス、バーニー・エクレストンと交渉を重ねていたと報じられてもいる。ところが、スタローンの書いた脚本を読んで、エクレストンはあまりにも突飛なストーリー展開や現実離れしたアクションに呆れて、F 1 を題材にすることを許さなかったというのだ。CG を駆使したクラッシュシーンは、観客を驚かせるには効果があったろうが、「こんな事は起こるわけがない」と、かえってこの映画自体を陳腐にしてしまったようだ。 そこで、約 30 年前に制作された「栄光のル・マン」を再度振り返ってみると、現代でも良くできた作品であることに感心させられる。それは、制作者がどれだけレースというものを理解していたかの差ではないかと思う。前回でも記したように主演のスティーブ・マックウィーン自身、プロフェッショナルレーシングドライバーにも引けを取らない腕の持ち主であるし、レースを趣味としている人物だ。派手な演出がレースの本来の面白さ、格好良さを台無しにしてしまうのを良く知っていたのだ。レースの映画というものだけに関してはスタローンは、CART レースをランボーの爆破シーンや銃撃シーンと同じようにとらえていたのだろう。 「栄光のル・マン」以前にレース映画の名作として知られる「グランプリ」の監督、ジョン・フランケンハイマーが再びレースを題材にした映画を制作するという噂が流れた。それも、ル・マンを含む世界スポーツプロトタイプ選手権シリーズを舞台にするというものだった。フランケンハイマー監督の「グランプリ」は 1960 年代の F 1 を映画にした秀作。その監督がどのようにル・マンを描くのだろうかと期待した。だが、それは、現実のものとはならなかった。噂があがったのが 1980 年代だったから、約 20 年の時間を隔てた間に、スケールの大きな映画を制作するには膨大な資金が必要となって、計画が断ち切れてしまったらしい。 再びレースの秀作映画を観たいと思う。 |
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