 |  |  | | | 雨の日と2馬力は | | 〜そらいろの大きなブリキのオモチャがやってきた〜 |  | | 最終生産型、すなわち 1989 年のポルトガル製シトロエン 2CV スペシアルが、ひょんなことからボクの手元にやって来て 1 カ月余り。そろそろ手にも足にもカラダにも慣れてきたのではないかと言う感じで、ちょっとそのお話をしてみよう。旧車に興味のある方も、そうじゃないけど 2CV はなんか気になると言う方も、そしてもちろん「へへ菌」の保菌者の方も、ゼヒ。 |  | 文、写真:まつばらあつし
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|  |  |  |  |  |  | まつばらあつし [vividcar エグゼクティブディレクター] |  |  |  | VividCamera も少しづつコンテンツが増えてゆくのでお楽しみに。 また、クルマ関係の記事や、バイクとかいろんなものにも焦点を当てて行きたいと思うので、そちらの方もどうぞご期待を。人間としてはオートフォーカスじゃなくて、決めたものにフォーカスを合わせるマニュアルなタイプかも。 |  |
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 |  |  |  |  |  | | このように窓をちょっとだけ開けておくといい換気になるが、それも走っている間だけ。停まっているとやはり雨が吹き込む。 |  |
 |  | | rain - X を使えば、ワイパーの負担は軽くて済むが、ルーム内の曇りには、やっぱりふき取りが一番。 |  |
|  |  | 雨の日と 2 馬力は
今年は梅雨明けが遅れ、梅雨明け後も雨模様の多いこの関東地方であるが、正直言って蒸し暑い。しかも曇る。前がみえない。「はっ」として横を見ると横もよくみえない。当然リヤウインドウも全然クリアでは無い。
いや、最近手に入れた 2CV の事なんだけれども、晴れていれば屋根を開けてオープンエアモータリングを存分に楽しめるのだが、雨の日は大変だ。
フロントガラスの曇りを取るデフォッガは無いし(実はあるんだけど、暖かい空気が出るので・・・)、サイドウインドウは跳ね上げ式なので、ガバっと開けておくと景気よく雨が吹き込んでくる。少しだけ開けた空気取り入れ状態にしても、動いている時はいいんだけど、信号待ちになるとテキメンに曇り出し、がーっと走って曇りが取れる頃にはまた信号待ち。魔の永久運動なのである。
でもまあ、実は「だからダメじゃん」なんて全然思ってないのだ。窓を拭き拭き「しょうがねえなあ」って、笑いながら運転できる。水滴が付いた窓越しに観る街も悪くない。小さなワイパーがアイドリングの時はゆっくり動き、回転を上げるとセコセコ速くなるのもキライではないし。
蒸し蒸しするコックピットで細いハンドルを握り、クルマに乗って街の景色を見ながら季節感を存分に味わえると言う経験は、なんかすごく久しぶりのような気がしてきたのだ。 |
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 |  |  |  |  | | 屋根をくるくる巻くと立派なオープンエア。その姿はまるでサザエさん。お魚くわえたどら猫でも追いかけようか。 |  |
|  |  | コワれないけどデリケート
友人を乗せて走る。初めて乗るヒトは、現代のクルマからみるとかなり狭い室内に驚き、茹ですぎのスパゲッティのような柔らかなシートに驚き、そして走り出すとあちこちから聞こえるアヤシイ音にビビる。
ハンドルを切ると街中でも大げさに「グラッ」と傾き、フロントやリアからは「カタン」とか「ぎしぎし」という音が容赦なく響く。実はボクもこのクルマ、最初に乗ったとき「こりゃポンコツか?」なんて思ってたのだけど、話を聴くと新車の頃からこんなもんだったらしく、音はするけど音がするだけだから大丈夫でしょうとのこと。まあ、そんなもんなんだろう。
何しろコイツを買うために初めて試乗した日。屋根をサザエさんのように巻いて走ってたら、時速 60km を超えた辺りで空気をはらみ、べろべろ〜んと屋根のシートを垂れ流してしまったほどだから、少々のことで驚いてはイケナイのだそうだ。
まあ、そんなにしても壊れないほど頑丈だけど、屋根の件を含めて、やはりイロイロなところに注意して、デリケートに扱ってあげる必要がある。旧い車を扱うときの鉄則だ。やっぱあちこちガタがきているだろうからね。 |
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 |  |  |  |  | | 雨の日はどうしても屋根を閉じるが、この屋根に当たる雨の音がなんとも風流。フロントウインド下はベンチレーターで、室内のダイヤルを回すと開いたり閉じたりする。 |  |
|  |  | 遅くてゴメン
ダッシュボードから生えた特徴的なシフトレバーの操作も、軽いけれどイキナリ繋がるクラッチにも慣れてきた。ただ、未だにノンパワーのステアリングには閉口する。特に車庫入れの時の重さは、とても 125/15 という細いタイヤとは思えない。パワーステアリングに慣れたカラダには堪えるのだ。
そしてその動力性能。 602cc で 29 馬力という空冷の水平対向エンジンのパワーは、現代のいかなる自動車よりも確実に遅い。ローやセカンドでこれでもか!ッてくらい引っ張って、本人はスンゲー速いつもりでいるのに、大通りなんかだとオバチャンの運転する軽自動車にスパっと抜かれたりする。
スピードメーターをみると 40km とか 50km とか。体感速度は速いんだけど、実速度はあんまり速くない。おかげで夜なんかは空荷のトラックにグワーっと迫られて結構怖かったりするのだが、まあ、でもみんなこのクルマのスタイルを観て許してくれるのだ。「まあ、あれじゃあしょうがないか」って。その証拠に、夜の湾岸や昼の首都高とか、左側をモタモタ走ってても、誰もホーンを鳴らさずに、むしろにこにこ笑いながら追い抜いて行ってくれる。 |
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 |  |  |  | | スットボケた表情の 2CV は和み系か。しかし運転中は忙しくて和んでいる場合ではない。丸いヘッドランプはイエローバルブで夜はナカナカのハンサム。 |  |
|  |  |  | ヒトに近い
街中を走っていると、この 2CV ご老体にウケがいい。おじさんもおばさんもにこにこしてこっちを見ている。うむ〜、懐かしがっているのかどうなのか。その辺は解らないが、ともあれこの妙なブリキ細工のようなデザインは、案外と和み系なのかもしれない。
先日屋根を開けて走っていたとき、信号待ちで隣にでっかいダンプが停まった。運転手がボクを見下ろして「排ガスケムくないか?」って訊いてきた。ボクは「もう慣れたですよ」って言ったら、大きな声で笑われた。そのダンプはでも、ボクが右折するまで、決して追い抜かないで排ガスがかからないようにしてくれていたのだ。
2CV に乗っていると、いつもよりペースが遅く、しかも屋根も窓も開けっぱなしのことが多いので、歩いているようにいろいろなことが見えてくる。もっとたくさん街に 2CV が走っていた頃は、きっとみんなこんな感じだったのかなあと、ちょっと羨ましい気もするが、まあそれは昔の話だ。
そんなことを思いながら、ボクは相変わらず信号待ちで窓の曇りを拭き拭き、屋根に当たるぼそぼそという雨の音を聞きながら、ハンドルにしがみついて 2CV を走らせるんだけどね。
また近いうちに「炎天下の 2CV 」とかお届けできると思うので、お楽しみに。うわ〜、暑そうだなあ。 |
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