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tab_star2003/09/26tab_end孤高の存在 ガライヤ
FRP フレームの「トクベツ」な自転車
〜ガライヤにつながる「血統」〜
 前回は「 FRP ボディを持つヤツはトクベツである」というお話をしたのだが、今回はその FRP を主構造材として使っている自転車をつくっている、とある会社の取材にでかけてきた。FRP で自転車のフレームが ?という疑問に、日本のクラフトマンが出した答えを観ていただこう。
文:まつばらあつし
写真:斉藤敦 / まつばらあつし

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まつばらあつしSicon_homeまつばらあつし
[vividcar エグゼクティブディレクター]
VividCamera も少しづつコンテンツが増えてゆくのでお楽しみに。
また、クルマ関係の記事や、バイクとかいろんなものにも焦点を当てて行きたいと思うので、そちらの方もどうぞご期待を。人間としてはオートフォーカスじゃなくて、決めたものにフォーカスを合わせるマニュアルなタイプかも。
●そんなのアリか ?

 クラフトマンシップの特集の企画を進めている段階で FRP についていろいろ調べているときに、ちょいと気になるカタログを入手した。それはオムニドメインと言う会社が販売するいくつかの自転車のカタログなのだが、スペックシートを観てみるとそれらのフレームが全て FRP で作られているとのこと。思わず「マジですか?」との疑問が沸いてくる。しかも値段がハンパではない。シティサイクル 180,000 円から、マルチパーパス車の 880,000 円までという自転車としてはかなり高めのプライス。
 写真を観ると確かに FRP ならではのデザインで、妖しげなオーラを感じさせるのだが、しかし本当に主構造のフレームを FRP で?そんなことが可能なのか?もしかして中に金属のフレームが隠されているんじゃないのか? 等々、写真を観ても値段を観ても謎は深まるばかり。
 悩んでいてもしょうがないので実際にオムニドメインに取材して、その謎や、実際に乗ってみてどうなのよ?と言うところを体験しよう、ということになった。いやしかし、それはまさに「クラフトマン」の技が遺憾なく発揮された「トクベツ」なヤツだったのである。
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左がママチャリ系の「 TB シリーズ」、右が「 SL シリーズ」だ。どちらも FRP ならではのデザインと 10 種類と言う豊富なバリエーションを誇る。
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スポーツタイプの「 SIRBURAX シリーズ」。フレームの違いで区別される。左が「 991 」で右が「 993 」どちらも競技に出る事が可能なパフォーマンスを秘める。
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青山の一等地にあるショウルーム。青山墓地の方に下る交差点のそばでスグにわかるはずだ。
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並んでいる TB シリーズを眺めると、自転車というよりも何か有機的な生き物のように見えてくる。
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株式会社オムニドメインの代表取締役会長の脇義昭さん。自ら自転車を趣味とする。自転車に対して本業の IT システム販売同様にチカラを注ぐ。
●本当は IT 会社なんですが(笑)

 東京・青山のすんげー解りやすい場所にある株式会社オムニドメイン。一階はショウルームになっており、お目当ての自転車がいくつか並んでいる。
 改めて紹介するが、ここで販売されている自転車はちょいとファットなレトロ風フレームを持つおしゃれなシティサイクル「 SL750/700/630/600 」、乗りやすそうでモダーンなママチャリ系の「 TB550/500 」そして街乗りから競技までをこなせるマルチパーパス車「 SIRBURAX 991 」と「 SIRBURAX 993 」の、バリエーションも含めて計 4 系統 12 車種だ。これら全てのマシーンは正真正銘 FRP モノコックのフレームを持ち、ねじ一本までがハンドメイドで作られている。
 写真を観てもお解りのように、FRP ならではのデザインは自転車の常識からは少々外れてはいるものの、SL 系のキュートさ、TB 系のモダーンな印象は、実車を観るとマニアでなくても思わず「ぐっ」と来る。それほどの完成度と言うか、仕上げの質は高く、まさにねじの一本一本までに神経が行き届いているというのを、目の当たりに見せてくれるのだ。
 さて、お話を伺ったのは株式会社オムニドメインの代表取締役会長の脇義昭さんだ。実はこのオムニドメインは「 IT 会社」であり、Web の販売サイトなどで数々の実績を持っている。そんな会社がなぜ畑違いとも言える自転車の販売に乗り出したかと言えば、自ら自転車乗りである脇さんが、デザイナーの萩原氏の理念や、FRP フレームの自転車を作る人たちのクラフトマンシップにほれ込んだからと言う。
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オムニドメインの名を世に知らしめた「 SIRBURAX 991 」。理詰めのフレームワークは FRP モノコック。これだけでも正直驚かされる。
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試乗中の本誌斉藤。青山界隈を徘徊してきたそうだが、ほっといたらそのままドコかへ行っちゃうかも。
● F1 とカローラしかない

 すなわちそれは、萩原氏の言う「いまの自転車は F1 とカローラしか無い」という現実。それを何とかしたいと考えているからだと言う。
 いまの自転車はマニアやプロ向けの、クルマで言えば F1 と、安くて気軽に買える一般向けのカローラばかりで、その間が殆ど存在しない。だから自転車でも BMW とかアルファロメオのようにスポーティで競技に出ることも可能、なおかつ街乗りもできる、そんな新しいジャンルの自転車を作ってみたかった、それを具現化したものが萩原氏のデザインする SL 系や TB 系、そして SIRBURAX なのだそうだ。
 これらの自転車はその理念に基づいて、理詰めでキッチリ作られているという。実際乗ってみるとワカルというので、本誌斉藤が乗ってみたのだが、その見かけはおしゃれなママチャリみたいだが、乗りやすさも、漕ぎやすさも抜群で、しかも速く、フレームも鋼性感バッチリのドイツ車みたい、との感想を述べた。スポーツ走行から街乗りまでを難なく、しかも楽にこなせるという、まるでマジックのような自転車が、実はこの日本ですでに完成しているのである。
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とても自転車のフレームと思えない「 991 」のフレームワーク。強度などの計算は手作業で、フレーム作りも職人さんの手作り。この辺はオムニドメインの Web ページで紹介されている。
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独自の雰囲気を持つ「 SIRBURAX 933 」。現在ロード版やオフロード版などのバリエーションを選ぶ事が可能になっている。
●だから FRP フレーム

 「だから FRP フレームなんですよ」と、脇さんは続ける。この乗り味や性能を求めるための結論が FRP フレームである、と。この FRP モノコックフレームは、実はデザイナーの萩原氏が「手計算」で見つけ出した秘伝と言うか、機能とデザインをバランスさせた見事な仕事は、まさに職人技。近ごろ珍しいクラフトマンシップの健全な発露である。フレームの強度もレースに出る事が可能な屈強であり、他の素材では不可能な成型や塗装、自由なデザインが可能なので、デメリットは無いと言い切る。
 SL シリーズの 230000 円とか、SIRBURAX の 880000 円と言う金額は、その出来に見合った適正な価格、むしろバーゲン価格だと脇さんは明言している。実際に FRP ゆえに修理が容易に可能だし、他のコンポーネントも正しく整備していれば一生ものの品質だから、10 年 20 年経っても新車時のクオリティをキープできる。そう観ればコストパフォーマンスはむしろ優れているのではないかと。
 確かにそういわれてみればそうだが、だからといって、普段使う自転車にそんな金額は中々出せるもんじゃない。
 脇さんは「その辺が挑戦なんですね。ママチャリというか普段使う道具、すなわち趣味性のないものに趣味を持ち込むと言うか、実用的なアートと言うか、そういうものに共感してくれる人たちを増やしてゆきたい」と。
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電動アシスト化の計画がある「 SL シリーズ」にも、大きな期待が寄せられている。バッテリースペースを見込んだデザインで、実現も間近か?
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別売りのフェンダーでカラーコーディネートが可能な「 TB シリーズ」は、イチバンのおしゃれ自転車。実物を見るとかなりキュート。
●コイツもトクベツなのだ

 街乗りメインの「 SL 系」と「 TB 系」は、そのデザインからも想像がつくと思うが、将来の電動アシスト化を見込んでいると言う。見かけによらず軽くて速い「 SL 」や「 TB 」に電動アシストを組み込んだらどうなるか。まだ完成してないので何とも言えないが、想像するだけで顔がにんまりしてくる。きっとスゲエぞ、と。
 それに現時点でも 10 色から好きな色が選べたり、フロントとリアのフェンダーも別売りでカラーコーディネートが可能など、FRP の特性を活かした楽しい商品ラインアップがなされている。そんな選ぶ楽しみや所有する悦びも、魅力のひとつなのだろう。
 殆ど消耗品に近くなった街乗りの自転車と、レーサー等に代表されるハイパフォーマンス高級車の間を埋めるカテゴリーの自転車。現実は中々難しいとは言うものの、実際に行動を起こしている人たちがいる。そして現実に驚くべき成果を挙げるクラフトマン達の仕事を手に入れる事が出来る、それはきっと効率や数字ばかりを追い求めがちなの世の中にとってイイコトなんじゃないかと強く思えるのだ。数値では表せない「何か」を持つ乗り物を手にするということが。
 
 FRP のフレームを持つ、このトクベツな自転車は試乗が可能だ。近くにお寄りの際に試してみる事をお勧めする。少し目が覚めるような体験がきっと出来るだろうから。まあ、あとはお金の問題ですわね(笑)。
 そんなわけで、次回はこのトクベツなヤツの中から、例によって VividCar が注目する「ガライヤ」について、もう一歩踏み込んでチェックしてみよう。数値では表せない「何か」を持つ、エンジンのついた乗り物として。
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ショップの前に立つ脇氏と彼の自転車達。ぜひご試乗を、とのこと。ゼヒ!
株式会社オムニドメイン
東京都港区南青山 2-27-21 セイリンビル 1F
03-5771-0390
info@omnidomain.co.jp
11:00~21:00(年中無休)
営団地下鉄銀座線 外苑前駅 A1 出口より徒歩 2 分

Omni Domain 自転車販売サイト
「nh-guild.com」
(http://www.nh-guild.com)


記事内で紹介した TB シリーズなどの「トクベツ」な自転車の紹介と販売を行っている。メインテナンスの記事や職人さんたちの仕事ぶりのレポートなど、自転車販売サイトとしてはかなり少々特異な存在でもある。
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